『情・意・知の教育』

人が先ず第一に学ばなければならないこととは何でしょうか?実はそれは人間としての特質である人間性です。
1920年にインドのミドナプールで狼に育てられた2人の子供が発見され保護されました。推定年齢1歳半と8歳の女の子でした。保護したシング牧師は彼らをアマラとカマラと名付けて育てました。しかし年少のアマラは11ヵ月後に病死し、カマラも9年後、推定年齢17歳で病死しました。カマラは9年間人間社会で生活しましたが、8年間に染み付いた狼としての性質や特性は容易に変わりませんでした。シング牧師は後に記録の中で次のように述べました。「性質や習慣の形成は環境がこれを支配する。人間の子としての自然な発達には、望ましい人間的な環境が必要十分条件である。」と。人間として生まれた赤ちゃんには人間性を育む望ましい環境が必要であると言っています。つまり人間性も養われなければ育たないということです。これはとても重要な命題です。
日本では知・情・意の教育の必要性が言われてきましたが、この順序を情・意・知と並べ替えると良いと思います。情とは思いやりの心、意とは意欲つまりやる気、そして知とは学ぶことです。これまでは、知を前面に出して、頭の良し悪しを重要視してきました。でもその弊害が現代社会に出てきました。学歴重視、学歴偏重による社会の歪が出てきたのです。21世紀は個の時代で、個性を持っているつまり人と違った素質や能力を持った人が重要視されるようになります。これまでのように学校での成績ではなく、社会に貢献できるその人独自の考えや技術、ノウハウ、働き、能力、素質が大切になってきます。そうすると人、社会、世の役に立つことを前提に何を提供できるのかが大切ですから、まずその人になければならないものが、情なのです。そして意です。それに基づいて知が満たされます。この情・意・知の教育こそ、21世紀の教育だと考えます。



Copyright (C) 2001-2003 Sunshine Forum Japan. All Rights Reserved