『学力とは』

今年の10月7日に東京の笹川記念会館で「塾の日フェスティバル2001」が開催され、「21世紀これからの教育」という演題でパネルディスカッションが行われました。この中で現文部科学省初等中等教育局教育課課長が出席され、ある大手塾の塾長からの提言に答えて次のように語られました。
「文部科学省も基本的には学力の向上・心の教育の二本柱で、学力の問題を十分重要な課題だと認識しておりますが、これまでの反省を申しますと学力を把握する客観的なデータを持っていなかったというのが率直な反省ですので、今後全国的な学力調査は継続的に行います。」と。
この学力を把握する客観的なデータとは何でしょうか?私はそれがその人がそれまでに培ってきた脳のCPU性能だと思います。それはどのように測れるかというと、その一つが本を読む速度であり、理解する速度であり、情報を聞き取る速度であり、情報を記憶する速度であると思います。人の脳のCPU性能こそが学習能力でありそれはいろいろな方法で測れますし、把握することができます。
もし文部科学省が全国的にそのような客観的なデータを計測してさらにそれを改善する方法を提示してくれたら、子供たちの学力は飛躍的に高くなると思います。でもそれは今は実現不可能です。百数十年前にサヴァン症候群が発表されたにもかかわらず、その能力のメカニズムが解明されてきたのがつい最近ですから、本当に時間がかかります。ですからよく言われることですが、「教育とは世紀を超えた壮大な実験である。」という言葉は至言です。日本の英語教育がバイリンガルを育てるほどの教育になるにも大変な研究と時間がかかっています。とても大変な事業です。でも次の世代のためにやり遂げなければならないことです。
21世紀の教育は人間力を高め、家庭力を高め、学習力を高めるものでなければならないと考えています。それもこれまでの経過を見ての一つの過程的結論に過ぎないかも知れません。でもやらなければ次の結論は出てこないのです。




Copyright (C) 2001-2003 Sunshine Forum Japan. All Rights Reserved