下痢(下痢−絶食と水分補給が基本)

下痢症状が示す病気のいろいろ(一日五回以上トイレへ行くようなら、医者にみてもらう)

 便秘と下痢の区別は便中の水分の含有量できまります。便の中の水分が少ない状態が便秘、多く含まれている状態が下痢ということになります。

 下痢には急におこる急性下痢と長くつづく慢性下痢とがありますが、この両者は原因となる病気がそれぞれ異なっています。急性下痢の原因としては食中毒、神経性下痢などがあげられますが、慢性下痢の場合は過敏性大腸症候群やその他の大腸の病気、さらにアメーバ赤痢、寄生虫などが原因になります。

治療のポイント

 下痢がひどいときは、たとえば一日に十回以上もトイレに通う、熱はあるし、おなかも痛い、といった場合は中毒や感染の疑いがありますから、すぐ医者にかかる必要があります。一日に四、五回の下痢というのが医者へ行くかどうかの境界線だといえましょう。しかし軽い下痢、一日にニ、三回で食欲はあるし、吐き気もない、便がでれば痛みもとれるという場合はほとんど心配はありません。

 下痢の治療としては、一般的には腸の運動を静めるためにまず心身の安静と食事療法が中心になります。急性の時期には安静にしてねて、はじまの一日、二日間は絶食します。その間、少しくらい栄養不良になっても、回復すればすぐにとりもどせます。

 しかし絶食の間も、あたたかい番茶や砂糖湯などをのんで水分を補給する必要があります。とくに老人の場合は欠かせません。下痢のときには、腸からの水分の吸収は不十分です。だからこそ吸収されない水分で便が液状になるわけですが、からだは“渇水状態”になっている公算が大きいのです。

 液状によっては重湯、くず湯などの流動食からはじめてもよいでしょう。そして以後は病状の好転と食欲の回復に応じて、三分がゆ、五分がゆ、全がゆ、普通食へと移行します。その間、繊維の少ない野菜をやわらかく煮たもの、果物のジュース、半熟卵、とり肉、消化がよく栄養価の高い食物を少しずつとるようにします。

予防のポイント

 日常よくおこる急性下痢を予防するためには、まず飲食物に対する注意が必要です。腐敗しかかった生魚などは細菌性、食中毒の下痢をおこすことがあり、また消化しにくいものをたくさんとったり、冷たいもののとりすぎ、アルコールののみすぎなども消化不良をおこすことがあります。

 しかし、なんといっても常に健康状態をよくしておくことが大切で、心身の過労、食事の不摂生、睡眠不足などにより抵抗力が落ちると発病のきっかけになりやすく、また病状も重くなることがあるので気をつけなければいけません。

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