胃・十二指腸潰瘍の特徴(イライラ・クヨクヨが潰瘍をつくる)
食べものがはいってくると、胃はいそがしくなります。たとえば金属をも溶かす濃い塩酸を分泌し、タンパク質を分解するペプシンという酸素をだして食べものをせっせと消化します。でも、そんな劇薬のような胃液を分泌しながら、なぜ胃自身の粘膜は消化されないのでしょうか。それは胃の粘膜がヌルヌルした粘液を分泌して、胃液の攻撃から身を守っているからです。
この攻撃と防衛のバランスがストレスなどでくずれ、守りが手薄になるとたいへんです。腹の減ったタコが自分の足を食べるように、胃は自分の粘膜を消化しはじめます。ひどくなると胃壁に穴があき、出血することもあります。これが胃潰瘍です。
胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、成因(病気になる原因)、症状がよく似ているため、胃・十二指腸潰瘍とひとまとめにいいます。
原因に多いストレス
胃・十二指腸潰瘍の患者にとって、何よりもさけなければならないのはストレスです。潰瘍の発生原因となり、治療を遅らせ、ときにはせっかくなおった潰瘍を再発させます。
何度も冷たい水につけられたネズミは、そのストレスが原因で食物の種類に関係なく胃に潰瘍をつくります。からだをしばりつけて、行動の自由を奪った状態でもかんたんに潰瘍が発生します。こうした実験からもわかるように、現代生活は四六時中ストレスを受けているわけですから、胃・十二指腸潰瘍の人がふえるのも当然かもしれません。
ストレスは胃や十二指腸の粘膜から潰瘍への防衛能力を徐々に奪っていきます。ストレス以外の原因でできた潰瘍でも進行の手助けをします。だから、多くの医者は胃・十二支潰瘍の患者に、制酸剤や抗コリン剤など潰瘍に直接はたらく薬のほかに精神安定剤や鎮痛剤をだします。これはストレスをやわらげて、治療効果をあげるためです。
しかし精神安定剤だけではストレスは防ぎきれません。肝心なのは自分で自分の生活をコントロールすることです。翌日に疲労をもちこさない仕事のペース配分、自分の殻に閉じこもらず、悩みを相談する相手をつくる努力など、本人の気のもちようでかなりちがってきます。
治療と予防のポイント(自宅ではたらきながらなおすには)
胃・十二指腸潰瘍を自宅ではたらきながらなおすには、まず食事のコントロールが大切になります。積極的に栄養を補給して、潰瘍部分の傷を早くふさごうということが食事療法の基本になっています。気に病みすぎて、食べたいものも食べず、おかゆと梅干だけという生活をしていると潰瘍部分の肉が盛りあがってこず、なおりは遅くなります。吐血するほどすすんだ潰瘍でも一、二週間後にはふつうの食事にもどします。
アルコールも晩酌一本程度なら、食欲増進とストレス解消のため、むしろ薬といえます。ただし、すきっ腹にガブ飲みは禁物です。同じ嗜好品でもコーヒーやお茶は胃・十二指腸潰瘍の大敵です。カフェインが胃液の分泌を促し、潰瘍をまたいじめるからです。タバコも胃を荒らすもとです。
胃や腸の壁に穴があいたり、出血をくり返したり、あるいは内科的療法(薬を中心になおす方法)でなかなか効果があがらない場合は手術の対象になります。
手術後は胃が小さくなっていますから、一回に食べられる量は手術前より少なくなります。少量で栄養価の高いものを食べることと、食事の回数をふやす工夫が必要です。
もう一つ大事なポイントは、「潰瘍はなおりやすい病気だ」という確信を持つことです。胃・十二指腸潰瘍は臓器の傷としては発見しやすい部類に入ります。「いつ再発するか」と不安を訴える人も多いのですが、そうして気に病むことが再発の一番のきっかけになるのです。
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