心臓神経症(心臓神経症はこころの病気)

病気の特徴(心臓には異常がないのに、動悸、息切れが・・・)

 自分では心臓がおかしいと思いこんで、動悸、息切れ、疲れなどを訴え、不安に悩んでいる人がいます。ところが医者にみてもらっても心臓にはまったく異常がなく、健康そのものです。これが心臓神経症といわれる病気です。

 ですから、これは一種のノイローゼで、別名心臓ノイローゼとよばれています。がんノイローゼとまったく同じでまったくナンセンスなのですが、いくら医者がそのことを説明しても本人は納得せず、自覚症状の悩みをくり返し訴え、いっそう不安をつのらせるというやっかいな病気です。

 そんなことから、この病気は内科医の手におえないので、神経科の専門医にまかされる場合が案外多いのです。どうして心臓に不安をもつようになったかという心理的な動きをさぐって、精神分析的な治療を必要とするからです。

病気の原因

 心臓神経症にかかる人は神経質な人が多いというのが一般的傾向ですが、たまたまこういう人が近親者や友人などの心臓病による急死を目撃したとか、健康診断などでお医者さんから「心臓に軽い雑音がありますね」といわれたり、あるいは不完全な医学知識などで「自分は心臓病じゃないか」と思い込んだりすることが発病のきっかけになっているようです。そのほか過労や精神的ストレスなどもあげられます。

 また生活上の欲求不満から発病する心臓神経症もありますが、いずれにせよ、こういう人の場合はまずその原因をとりのぞくことが先決問題です。

神経循環無力症(心臓神経症に似ている神経循環無力症)

 心臓神経症に似ている病気に神経循環無力症という病気があります。この病気が心臓神経症とちがう点は、心臓に何らかの異常が認められている点です。たとえば、心臓のリズムの乱れ(期外収縮)、低血圧といった症状をもっていますが、心臓そのものの病気ではありません。日ごろから神経質で、やせ型の体格の人に多く、スタミナのない無力性体質の人がほとんどです。こういう人の訴えのなかでは、脈の結滞とか、たちくらみ、脈の数が多い、などの症状が多いようです。

 実際の患者数は、神経循環無力症のほうが圧倒的に多く、また神経循環無力症では身体症状が表面にあらわれて、精神症状が裏にかくされる、いわゆる仮面うつ病の場合もあります。

治療と予防(心臓のことをクヨクヨ考えない)

 病気の本態が心臓にあるわけでなく、からだのどこかに異常があるわけでもありませんから、治療のしようがありません。異常な精神状態や気の弱さが原因である以上、病気ではなく、本人の生活背景、精神状態に応じて対処しなければなりません。

 それだけに患者と医者のこころのふれあいが重要になります。患者と医者の気持が一つにならないと病気のなおしようがないのです。その意味で、患者にとってはよき医師・相性の良い医者とめぐりあえるかどうかに病気がなおるかのカギがあるといってもいいでしょう。

 ところで心臓神経症、神経循環無力症の療養方針としては、まず第一にリラックスをこころがけることです。「ものごとはなるようにしかならない」と覚悟をきめて、おおらかに生きるようにつとめます。患者はつねに自分の心臓に注意を集中しているわけですが、その注意をほかにそらすような方法(生活)を考えます。そのために軽いスポーツ、旅行などのレジャー、趣味にうちこむのもよいでしょう。

 また予防のためには、日ごろからスポーツによってからだを鍛錬しておくことも大切です。一般に心臓神経症になるきっかけの一つに、ちょっとした運動で動悸や息切れを感じたといったことが多いからです。

Copyright (C) 2001 Sunshine Forum Japan. All Rights Reserved