狭心症・心筋梗塞(狭心症・心筋梗塞は食事の摂生で予防する)

病気の特徴(狭心症は心臓のあたりが痛むとは限らない)

 狭心症・心筋梗塞は、いずれも心臓を養っている冠状動脈の動脈硬化によっておこる病気です。当然四十歳以後の中高年に多い病気ですが、男性は女性より三〜四倍ほどかかりやすいという統計があります。理由ははっきりしませんが、おそらく性ホルモンによるものと考えられています。女性の場合は、ほとんどが更年期以後にみられます。

 心臓が十分にはたらくためには、酸素や栄養分をたっぷり供給してやることが必要です。ところが冠状動脈の硬化によって冠状動脈が狭くなり、十分な血液が流れなくなると、血液によって運ばれてくる酸素の供給が不足してきます。これが肝不全です。つまり、心筋の酸素不足状態がおこるわけです。

狭心症とは

 肝不全の状態がある程度すすむと、胸が痛くなったり、しめつけられるような感じを覚えます。これが狭心症です。実際は痛みというより、なんとも表現しようのない感覚で、不安をともなった不快感があったり、胸に重いものを乗せられたような感じがしたり、いろいろです。心臓のあたりだけが痛むわけではないのです。極端な場合は、痛みが左肩や左腕にひびいて左肩が重くなったり、こったり、痛くなったりすることがあります。ときには下あごや右肩、右腕に痛みがひびくこともあります。このようなときは、うっかりすると心臓の病気でなく、肩のぐあいでもわるくなったのかと間違えるくらいです。

狭心症の発作

 狭心症の発作は心身に負担をかけたとき、たとえば朝の出勤で駅の階段をかけあがったとき、あるいは怒ったり、口論をしたりしたときによくみられます。このような狭心症は、とくに労作性狭心症といわれ、狭心症の代表的なものです。リラックスしているときには発作がおこらないのも狭心症の特徴の一つです。

 発作はごく短時間、多くは二〜三分間しかつづきません。本人は案外長く感じるようですが、どんなに長くても二十分どまりです。ですから、たとえば夜間静かにしているときになんとなく胸に痛みを感じて、これが一晩中つづくようでしたら狭心症ではありません。

 あまり長く胸の痛みがつづくのは、あとで述べる心筋梗塞を考えなければなりません。

狭心症の発作の予防(発作がおきたら”あわてず、さわがず”)

 狭心症の場合、とくに大切なのは心筋梗塞へすすむのを未然に防ぐことです。心筋梗塞へ症状がすすむと予後(治療後の経過)がわるくなるからです。そのためには発作をおこさないように予防することですが、過激な運動を避け、ゆっくり歩くようにし、とくに階段や坂道はゆっくりのぼることが大事です。気持をゆったりもって、いらいらしたり、怒ったりしないようなこころがけが必要です。

 寒さをさける工夫も大切です。入浴は熱い湯をさけ、三九〜四〇度のぬるま湯でゆっくり暖まるようにします。とにかく発作をおさえることが肝心ですから、心臓に負担をかけるようなことはできるだけさけるようにします。

 狭心症発作はいつどこでおこるかわかりません。狭心症の人は医師に相談してニトログリセリンなど発作のときに使う錠剤をいつも携帯しておくようにします。ニトログリセリン錠は舌下に入れれば自然に溶けて口の中で吸収されますが、早く効かせるためにはほおと歯ぐきの間に入れて、ほおの外から指でつぶすやり方をとります。また発作を誘発しそうな行為をやむをえずしなければならないようなときは、直前に服用しておくと発作の予防に役立ちます。

 万一、歩行中などからだを動かしているときに発作がおこったら、すぐ立ちどまり、しゃがんだりして安静にすることが大切です。安静にすれば、多くの場合数分間で発作はおさまります。あわてることは禁物です。あわてるとかえって悪影響がありますから、「あわてず、さわがず」と自分にいいきかせて安静にしておくことです。もし静かにしていてもなかなか発作がおさまらないか、がまんできないような激しい痛みがおこってくるようでしたら心筋梗塞の発作かもしれませんから、自分では動かないで、すぐ救急車をよんでもらってください。

心筋梗塞とは(発作が三十分以上続くのは心筋梗塞、すぐ医者を呼ぶ)

 原因は狭心症の場合と同じです。しかし狭心症のときよりももっと激しい痛みで、しめつけられるような、あるいは胸が破壊されるような、非常に重いものを胸にのせられたような痛みを感じます。痛みとともにいまにも死ぬのではないかと思うような絶望感、不安感をともなうことも少なくありません。

 痛みは狭心症の場合よりもっと長く、三十分以上、数時間もつづきます。この痛みには狭心症のとき効いたニトログリセリン舌下錠なども効果はありません。またふつうの痛みどめでも効果はありません。

 ひどいときはショックをともない、発作で即死する場合もあります。血圧は低下し、手足は冷たく、顔面は血の気を失い、皮ふはしっとりと冷や汗でぬれており、まったく危険な状態です。心臓から打ち出される血液の量が減り、全身への血のめぐりがわるくなるので、このようなショック状態がおこるのです。

発作の特徴

 心筋梗塞の発作では、しばしば吐きけをもよおしたり、吐いたりすることがよくあり、便意をもよおすこともあります。狭心症のような胸痛に吐きけ、嘔吐をともなう場合には心筋梗塞の可能性が強いので、すぐに医者にみてもらう必要があります。

 ただこうした心筋梗塞につきものの症状には、胃の病気や胆石症と共通した点がありますので注意しなければなりません。

 心筋梗塞を思わす激しい胸痛の発作がおこり、ときにはそれほどひどい痛みではなくても、発作が三十分以上つづくようなときは急いで医者の往診をあおぎましょう。ただしあわてず、安静にして、動くことは絶対禁物です。

 ふとんやベッドに横にねていることが苦しくてできないときは、寝床の上にふとんを高く積み重ねて、それによりかかるようにします。

 心筋梗塞であることがわかり、あるいはその可能性が強いときは、医者の応急処置をしてもらってから、なるべく設備のととのった心臓病の専門家のいる病院に入院してください。CCU(冠状動脈疾患集中治療病棟)のある病院がもっとも理想的です。

予防と対策(再発予防のために日常生活の改善を)

 心筋梗塞でいちばん危険なのは最初の一週間で、死亡の大部分はこの時期におこり、しかもその多くは二四〜四八時間以内といわれています。無事に急性期(危険な状態)をのりきった場合の以後(治療後の経過)は、高齢者は別にして、それほどわるくありません。

 心筋梗塞の再発は、初回発作の一、二年以内に多いものです。そして再発後のようすは、初回発作のときにくらべるとわるい場合が多いので、再発につながるような生活態度だけは極力つつしむことです。

 予防という点からいえば、すべての心臓病についていえることですが、摂生を旨とした生活をし、過労をさけ、栄養的にバランスのとれた食事をとるようにします。とくに一回の食事量を減らし、消化吸収のよいものを選ぶこと、ふとりすぎないこと、食塩や動物性脂肪を制限すること、タバコをやめることなどをこころがけます。

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