うつ病(うつ病の引き金を引く“生きがい喪失”)

病気のポイント(“自分本位で無責任”ならうつ病にはならない)

 うつ病を指して、「未開社会にはない文明病」とか、「現代社会がもつストレスに対する人間的な反応」と指摘する医者がいます。それだけに女性の進出がめだつ今日では、女性のうつ病患者もとみにふえています。うつ病は今日、それほどありふれた病気になってきました。

 憂うつで、何をするにも気力がない、不眠、不安、悲観的な考え方、えん世感などの“精神症状”に加えて、食欲や性欲の減退、疲労感、肩こりなどの“身体症状”をみせるのがこの病気です。そしてしばしば衝動的に辞職・離婚・家出・蒸発・自殺などを企てるのがこの病気の大きな特徴です。

 うつ病になりやすい人の性格は、男女ともまじめできちょうめんで義理堅く、仕事熱心です。これに加えて、他人の役立つことが大好きで、人に評価されることを期待しているという性格をあげる人もいます。こうした性格の人は、責任ある仕事をまかされた、結婚したいのに婚期を逸した、グループ内で自分の出番が少なくなったというケースでしばしばうつ病におちいります。また転居・転勤・昇進・配偶者の死など急激な状況の変化が発病の引き金になることがあります。

病気の特徴(中年以降に多い仮面うつ病)

 中年以降の男女にしばしばみられるのが仮面うつ病です。からだの不調を訴えて内科医を訪れますが、エックス線撮影、心電図検査、血液、尿などを一通り調べても、異常は見当たらないケースがほとんどです。からだの症状という“仮面”をかぶっていますが、実はこころの病気だというわけです。こうした点から、仮面うつ病は医師でもつい見逃しやすいのです。

 原因は、やはり職業、育児、嫁姑など職場や家庭内の人間関係からくるストレスがめだちます。つまり、仕事上・家庭上の問題で思い悩み、それが不眠に結びついてうつ病を誘発するというケースが多いのです。

予防と治療(「しっかりしなさい」と励ますのは禁物)

 うつ病の人は、いわば徹底的に落ち込んでいる状態ですから、そんなときに「しっかりしなさい」と周囲の人がやたらと励ましたり、逆に冷淡に無視したりすると、「死んでしまいたい」というところまでいってしまいます。うつ病でもっとも注意したいのは自殺の防止です。とくになりかけとなおりかけの状態のときが要注意です。周囲の人は単純に励ましたり、突き放したりせず、温かくなぐさめ、たっぷり休養をとらせるようにします。

 この病気は性格が関係しているので、予防はむずかしいのですが、前にあげた性格の人は、自分の性格がうつ状態に落ちこみやすいことを自覚し、仕事に無理を重ねないようにします。目いっぱい仕事をかかえこみ、過労になるような状態は意識してさけてほしいものです。

 治療の第一目標は憂うつ感を早くとることですが、最近はよい抗うつ剤が多くでまわっています。大半の人は薬をのみはじめてからニ〜三週間で効果があらわれ、約三ヶ月で食欲不振、疲れ、意欲低下などの症状はおさまります。ただし薬をやめたら再発することがありますので、症状がおさまってもしばらくは薬をつづけます。

 一方、躁病のほうは、かんたんにいうと酒に酔って愉快にさわいでいるときに似ています。しゃべりつづけ、気が大きくなります。言うことに一貫性がなく、論理が飛躍します。酔いとちがうのはさめることがなく、数ヶ月ほとんど不眠不休の興奮が続くことです。むやみに物を買い、人に気前よく与えます。

 うつ病と躁病はほぼ七対一ぐらいの割合でうつ病が多発します。躁・うつともに青年期に多いのですが、うつ病の発生は初老期にもう一つの山があります。

 躁病とうつ病は、一見正反対の症状をみせますが、双方とも感情の大きな波を中心に、上向きの躁状態と、下向きのうつ状態とがあって、これを周期的にくり返すという点で本質は同じといえます。そしてその両方を交互にくり返すタイプと、躁のみ、あるいはうつのみをくり返すタイプとはあります。

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