D呼吸体操(“ガス交換”の能率を高め肺本来の機能を強化)

 健康法としての呼吸のしかたは、複式の深呼吸が最適です。腹式呼吸は息を吸うときに横隔膜を下げる、つまり、腹をふくらませます。こうすると、胸腔と肺のなかの圧力が下がり、空気がはいりやすくなります。息を吐くときは、逆に腹をへこませて横隔膜を押し上げます。これを意識的に行なうことで深呼吸ができるわけです。効果的にやるためには、日ごろから上手な呼吸のしかたをマスターしておくことが必要ですが、そのための呼吸体操を紹介しましょう。


ゆっくり息をして肺胞のすみずみに新鮮な空気を送る

 深呼吸の第1の利点は、呼吸にともなうエネルギーと酸素の消費量が少ないことです。ふつうの呼吸は胸式呼吸といって、動かしにくい肋骨のある胸部で行いますから、酸素を多く消費します。ところが、柔軟な横隔膜を使用する深呼吸、すなわち腹式呼吸は酸素の消費が少なくてすむのです。このため、深呼吸を続けていると、疲労しにくく、また疲労の回復も早いのです。深呼吸の第2の利点は、緊張をやわらげる精神的効果です。人は精神的な緊張にさらされると、無意識のうちに呼吸数がふえ、体内の二酸化炭素が余分に排出されてしまうため、脳が不安感におそわれたり、呼吸困難を感じたりします。こんなときは、大きくゆっくりと深呼吸(腹式呼吸)をしてやると、二酸化炭素の値が正常にもどり、精神的な落ちつきが得られます。人前であいさつするときなどに、深呼吸をすると落ちつくのも同じ理由からです。

 朝、目がさめたとき、5分間ほど深呼吸をすると、その日の活力がてきめんに違います。また深呼吸体操で腹式呼吸をマスターすると、肩こりや不眠症がなおることもよくあります。

 こんな手軽な健康法が、なんの道具もいらずにできるのですから、ぜひ生活の中にとり入れて実行してみてください。ジョギングや縄とび、ウォーキング、サイクリングなどと組み合わせてやると、さらに効果はあがるはずです。


呼吸体操の基本

@ ゆっくりとおなかをへこませて息を吐き出し、ゆっくりとおなかをふくらませながら吸いこみます。

A 3テンポで吐き、2テンポで吸います。つまり、吸うのより吐くほうに長い時間をかけます。

B 息を吐き出すときは、ほおをふくらませ、口をすぼめてゆっくり吐きます。

呼吸体操の実際

[寝てする体操]

 軽くひざを曲げた姿勢であお向けに寝て、全身力を抜きます。おなかの上に辞書など重い厚手の本をのせ、それを持ち上げるようなつもりで、おなかいっぱい息を吸います。ついで、本の重さを利用しておなかをへこませながら、ゆっくり息を吐きます。

 このスタイルの応用として、両手でからだを支えるようにして腰を浮かせます。この姿勢でおなかをへこませてゆっくり吐き、おなかを突き出して腹式呼吸をするとさらに有効です。両手でからだを支えるのがきつければ腰にふとんを当ててもよいでしょう。腰を高くすると、内臓の重みが肺の近くによって、横隔膜の働きをさらによくします。

[座ってする体操]

 まず両足の裏を合わせて座ります。それができない人は、あぐらをかいて座ってもかまいません。その姿勢のまま大きく息を吸っておなかをふくらませます。次に自分のおへそをのぞきこむような気持ちで、からだを丸めるようにかがめながら、ゆっくりと息を充分に吐き出します。

なぜ腹式呼吸がいいのか

 私たちがイライラした気持ちを静めようとして、深呼吸を始めたとします。するとそれを境に、自律神経の交感神経の働きが徐々におさえられて、かわりに副交感神経の働きがしだいに促進されてきます。もともと交感神経と副交感神経は昼と夜、陽と陰のようなもので、たとえば血圧を上げるのが交感神経なら、下降させるのは副交感神経の働きによるのです。呼吸の場合は、交感神経が呼吸を促進させ、副交感神経がそれを抑制させるわけです。ところが、自律神経の支配下にありながら、自分の意思でなんとかコントロールできるのは、呼吸しかありません。つまり、呼吸の仕方を意識的に変えることによって、逆に自律神経そのものを支配下に置くことができるのです。

 たとえば、気持ちがイライラしているときに、深呼吸してみますと、イライラがとれるのは、深呼吸が安静時のゆっくりした呼吸に似ているからです。つまり、イライラしている時の浅く速い呼吸が、安静時の深く静かな呼吸にかわり、それが呼び水となって全身がゆったりとしてくるのです。


こんな病気・症状に効果がある
●疲労
●緊張緩和
●肩こり
●不眠症

  

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