C温泉(新陳代謝をたかめ体内の毒物を洗い流す)

 わが国では行楽といえば温泉がつきもの。日本人の風呂好きと、温泉の多い火山島の風土から来たものでしょうが、1泊か2泊のあわただしい行楽というのはちょっともったいない気もします。レジャーブームが訪れる前は、農期になると、ひなびた温泉地に近在の人たちが、なべ、かま、米、みそ、しょうゆを持ち込んで、自炊で湯治をする風景がよくみられたものです。ときには夫婦でのんびりと湯治をたのしむゆとりをもちたいものです。

化学成分、温度、水圧の3つの刺激が生み出す独自効果

つかりすぎは逆効果


 湯治の場合、はじめの2、3日は入浴回数をひかえめにして1日に1回、2回、その後は湯になれるにしたがい1日2,3回とふやしていくようにします。1日に入る回数や時間があまり多くなりすぎると、湯あたりをおこして疲労感や微熱を生じることもあるので逆効果になります。

 入浴は意外と体力を消耗するもので、つかりすぎはいけません。かえってだるくなり、疲労の回復にもなりません。

 また心身を静めるという点から考えると、摂氏38度から40度ぐらいの湯にじっくりと入るのがよいのです。私たち日本人は、家庭の風呂では、ふつう40度から42度ぐらいの湯に入っているので、この温度はややぬるく感じるはずです。

持病の人は要注意
 
 たまに温泉に行くような人は、このときとばかり、朝から何度も湯船に飛び込みますが、温泉にはナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどのイオンや塩類が多量に溶け込んでいるうえに、鉄、硫黄やラドンなどの特殊成分もありますから、からだに対する刺激は案外強いのです。家庭の風呂とは違うのです。

 ですから、持病のある人は要注意です。こういう人は温泉浴による疲れ方がひどく、回復にも時間がかかりますから、湯疲れを感じない程度で切り上げるようにします。動脈硬化の進んでいる高齢者や血圧の高い人は、原則として42度以上の高温浴はさけるべきです。

 熱のある人は入浴してはいけません。熱はなくても病気の急性期、たとえば急性腎炎、急性肝炎の場合は入浴は禁忌です。関節リウマチは、慢性化した場合は入浴が効果のある代表的な病気ですが、関節が赤くはれあがり、熱がある急性期に入浴するとわるくなります。

 肺炎、中耳炎、へんとう炎、赤痢など、ペニシリン、サルファ剤などで治療される病気は入浴すべきではありません。
 
 温泉の場合、浴後、からだを真水で洗い流さないほうがよいでしょう。温泉の成分は浴後もなお皮膚を通してからだの中に取り込まれるからです。
 
 しかし、強酸性泉や硫黄泉などの温泉では、皮膚の弱い人は湯ただれをおこすことがありますから、真水でからだを流すか、ふきとるかしたほうが無難でしょう。


 温泉とは、地中からわき出す熱い水、と思いたいところですが、必ずしもそうではありません。温泉法で決められている温泉とは、地中からわき出る温度25度以上の温泉、鉱水および水蒸気で、水1キログラム中に1000ミリグラム以上の化学物質が含まれているものです。

 温泉は、病気の治療に効果があるだけではありません。刺激にみちた日常生活の緊張から解放されて、心身の適応能力を回復させるのに大いに役立ちます。新陳代謝をたかめ、体内の毒物を洗い流し、自律神経を調整してバランスを回復させてくれます。
 
 病気を温泉治療でなおすには、専門医の指導が必要ですが、健康人がレクリエーションをかねて温泉を利用するのであれば、どこの温泉でもけっこうです。俗塵(じん)を離れたきれいな空気と、新鮮な食物に恵まれたところを選ぶのが、上手な温泉の利用法といえましょう。

 温泉は、水道の水を温める家庭の風呂とは違い、大自然の地下深いところからわき出してきたものだけに、さまざまな成分が含まれています。この成分が温泉の効用を特別なものにしているのですが、これらの成分は皮膚を通して体内に吸収されます。
 
 私たちが温泉地に出かけるのは、2、3日からせいぜい1週間ぐらいのものでしょう。しかし、本来の湯治という意味から考えると、4週間ぐらいは入りつづけないと大きな効果はのぞめません。

 また温泉の作用は大きく分けて化学成分、温度、水の圧力の3つによる刺激ですから、逆に4週間をすぎると、刺激がなくなり、効果は減少してしまいます。

飲用はこうして

 温泉はただつかるだけでなく、飲用にも使われます。飲用の場合はわき出した直後のできるだけ新鮮な湯を飲むようにします。温泉の湯にも“老化現象”があり、温泉としての効果は、わき出したのち時間がたつとともに弱くなっていくからです。

 炭酸泉や硫黄泉は下痢を起こしやすいので、下痢傾向の人は要注意です。また腎臓や心臓のわるい人、血圧の高い人、むくみ傾向のある人の場合は、食塩泉や、重曹泉など、ナトリウム分の多い温泉は病気にわるい影響を与え、血圧を高くするので飲んではいけません。

 飲用に用いてよい温泉は、都道府県の許可をうけることになっており、引用のための設備が用意されているはずです。また飲泉の量や回数も指示されていますから、それを守るようにしてください。

泉質と効果

 温泉がからだにいいのは、お湯に溶けたさまざまな成分の電解質のイオンが、皮膚を通って体内に入ってくるからです。温泉は一般に神経痛、筋肉痛、関節痛や関節のこわばり、麻痺、打ち身、くじきなどの外傷後遺症、慢性の消化器疾患や痔、冷え性などのほかに、病後の回復期、疲労回復、健康増進などに効果がありますが、そのほか泉質によってさらにそれぞれの特長ある効果が加わります。

●単純泉

 含んでいる成分は少ないのですが、刺激がソフトですから、幅広い適応があります。

 [効果] リウマチ性疾患、神経痛、運動器障害、疲労回復、病後の回復など。

●食塩泉

 入浴後の保温効果がよいことから、「あたたまりの湯」ともいわれます。もっとも刺激のおだやかな泉質の1つ、虚弱体質の子供やお年寄りに適しています。

 [効果] 神経痛やリウマチ、創傷ややけど、皮膚病や婦人病に効きます。飲用の場合は慢性の消化器病、便秘などによい。

●重曹泉(アルカリ泉)

 アルカリ性で、肌の脂を溶かすので、この湯に入ると肌がサッパリした感じになるのが特長です。

 [効果] けが、やけど、皮膚掻痒症など。飲用は通風、慢性胃腸炎、じんましん、慢性の尿路疾患など。

●炭酸泉

 炭酸ガスを含み、ぬるい湯だが、「泡の湯」ともいわれ、血管を広げる作用が強く、血行をよくする。

 [効果] 高血圧症、動脈硬化、心臓病(重いものはいけない)、神経症、婦人病によい。

●鉄泉

 皮膚の粘膜を引きしめる働きがある。

 [効果] 慢性の皮膚病や婦人病、リウマチにきく。また飲めば貧血に効くといわれる。

●酸性泉

 火山活動の盛んな地方に多い温泉で、強い殺菌力をもち、刺激も強い温泉。

 [効果] 慢性の皮膚病、みずむしなど皮膚の感染症に効く。

●明ばん泉

 酸性泉に準じた効果があります。

●硫黄泉

 わが国にいちばん多い温泉で特有のにおいがあります。わき出てから時間がたつと白く濁った湯になります。

 [効果] 慢性の皮膚病や婦人病によい。高血圧症、動脈硬化にもよいが、高温はいけません。

●放射能泉

 俗にラジウム泉といわれ、ラドンを一定量以上含むものです。

 [効果] 神経痛、通風、糖尿病のほかに、けがの後遺症、慢性の消化器病など。


こんな病気・症状に効果がある
●神経痛・リウマチ
●運動障害
●慢性の消化器病
●婦人病
●高血圧(低温泉)
●動脈硬化(低温泉)

  

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