D乾布まさつ・冷水まさつ(“毎朝起き抜け“の実行で全身に元気がみなぎる)
乾布まさつと冷水まさつは、昔から行なわれている健康法の1つです。小学校などで朝礼のあと、全校生徒が乾布まさつをやっているところも少なくありませんが、なかには両端にヒモをつけたたわしを持参させてやらせている学校もあるようです。皮膚をまさつすることによって、全身の血液循環がよくなり、全身運動をしたときと同じような効果があります。カゼの予防にも最適な健康法といえるでしょう。
古来の健康法だが“カゼ予防”以外にこれだけある効用
昔から、乾布まさつや冷水まさつで皮膚を鍛えると、カゼをひきにくく健康によいということで、広く行なわれてきました。この2つは、それぞれやり方がちがいますが、寒い外気や冷たい水に肌をさらすという点では同じです。
そして、その効用も、はだかになって皮膚を強くまさつすることで、皮膚の毛細血管を広げて血液の循環をよくしようというものです。
外界の変化に即応態勢を
皮膚は普段は衣服で保護されていますが、それが急な寒冷にさらされると、皮膚の色あお白くなり、鳥肌が立ってきます。色が白っぽくなるのは、皮膚の下の毛細血管が寒さに対して反射的に収縮して細くなり、その中を流れている血液の量が減るために赤味を失うからです。
皮膚の表面に近いところをたくさんの血液が流れると、冷たい外気に向かって体温を放出することになるので、毛細血管を収縮させ血流を少なくして、耐熱の放散を減らそうという、人体の自衛手段なのです。
鳥肌が立つのは、皮膚の内部、毛の根元についている小さな立毛筋が縮むためです。毛や羽毛におおわれている同物は、立毛筋を縮めて毛や羽毛を立てることで体の周囲に暖かい空気の層をつくって寒さを防ぐことができます。人間の場合の鳥肌は、毛深かった遠い昔の先祖の名残りといえます。
寒さで収縮した皮膚の血管をタオルでこすると、白っぽかった皮膚に赤味がさしてきます。まさつによって毛細血管が広がって、血液の流れが盛んになってくるためです。乾いたタオルよりも、冷たい水でしぼったタオルのほうが刺激は強くなります。
このような刺激が長時間繰り返されると、皮膚の毛細血管の拡張、収縮がすばやく行われるようになり、外界の変化にすぐに対応できる態勢をとることができます。
鼻やのどにも抵抗力が
鍛えられるのは皮膚の血管ばかりではありません。鼻やのどの血管も寒い外気にふれて収縮しますが、ついで反射的に、また全身運動によって体が温まるために拡張してきます。
このように、皮膚や粘膜の血管を刺激しておくことが、寒さに対する抵抗力を高める結果になるのです。
乾布まさつのやり方
きめの粗い、ザラザラした、乾いたタオルを準備します。日本手拭いでもかまいませんが、やはりある程度使ったタオルがいちばんです。まさつの方法は、皮膚をからだの端のほうから心臓のほうに向けてまさつすることが大切です。
まず、手首からひじへ、ひじから肩へこすり上げます。こうすると心臓へもどる整脈の走行に沿ってまさつすることになり、血行を盛んにするうえで、より効果的だからです。胸部のまさつは側方から中央へ向けて行ないます。肩や背中は風呂でこする要領でよいでしょう。下半身も下から上へ向けまさつします。足首からひざ、ひざから腰へ、腹部も下から上へこすります。
乾布まさつは、朝方、寝床から出かけに行なうのが原則で、就寝時近くに行なうと、睡眠をさまたげられるおそれがあるので注意します。
冷水まさつのやり方
冷水まさつのほうは、皮膚への刺激が乾布まさつより、より強く、より効果的です。この場合は手ぬぐいでもタオルでも結構ですが、なるべく固くしぼってください。
まさつの要領は乾布まさつと同じです。ただし、冷たいですから、手早くすませること。乾いたタオルを別に用意しておいて、1か所がすむごとに水気をふきとっていくとよいでしょう。
冬にはじめるような場合には、最初のうちはお湯でしぼってやってもよいでしょう。つまり、温水まさつからはじめるわけです。
大切なことは毎日、定期的に行なうことで、習慣がついて、寒い冬の朝でも、乾布まさつ、冷水まさつをしないと1日気分が悪いようになれば成功です。
はじめるにも時期がある
乾布まさつにも冷水まさつも、3日坊主ではかえって寒い思いをして、カゼをひくのがおちでしょう。ですから、季節としては、水の冷たくない春から夏にはじめるのがよいでしょう。
無理のない季節にはじめて、しだいに慣れていくことが長つづきさせるコツです。できれば庭や縁側に出てやりたいものですが、室内でやる場合には窓を開放して、新鮮な空気の中でやりたいものです。これに慣れれば冷水まさつに切り替えていく方法もわるくないでしょう。心臓病や高血圧症が心配される人は、一度医師に相談してからはじめるべきでしょう。
こんな病気・症状に効果がある
○カゼ
○貧血
○胃下垂
○食欲不振
○血行不良
○心臓
○呼吸器障害
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