@指圧(米粒ほどの“圧”でもツボを抑えれば効果大)

 指圧は、按摩、マッサージの圧迫法を主体にして、それにアメリカなどで行なわれているカイロプラクティクなどの手技と運動操作を加えて、20世紀になってからできあがった健康法です。指圧では圧すことが主ですが、圧すところは東洋医学のいう経穴、いわゆるツボです。ツボは体の表面に365ヵ所あるといわれ、これは12の連絡路(経路)で結ばれています。このツボが、からだの状態をととのえる効果的なポイントなのです。

5〜8キログラムの力をメドに気持ちよくなる程度に押す

指圧療法の歴史

 指圧療法は、柔道の活法(活を入れる)、導引(道家で行なった治療・養成法)、古来の按摩療法などを経てできた独特の経験療法です。とくに指圧は、大正初期に米国のカイロプラクティク(脊髄調整療法)、オステオパシーといった整体療法の理論と手技を取り入れ、今日にいたっています。別項に紹介しましたが、その療法の特徴は、母指や手のひらなどを用いて体表の一部部位を圧し、整体の変調をなおしたり、また健康の増進、疾病の治療のはかる手技療法です。

 手技は、脊柱、骨格のゆがみやずれを手技で正しい状態にもどす矯正手技、圧の変化で生体反応させ、反射的な効果を期待する圧法手技、日常生活の中で限界いっぱいに運動していない関節を他動的に、十分運動させることによって関節運動の円滑化とからだのかたよりを正し、正常な形に回復させる運動操作の3つの手技が代表的療法なのです。

ツボとは何か

 体の表面のどの部分とからだの内部のどの部分が、お互いに関係しあっているかを体験的につきとめたのが東洋医学でいうツボの理論です。これは現代医学でも実証されています。たとえば、内臓や筋肉、神経などの臓器や組織に病気がある場合、ある場所に痛みやしびれ、こり、しこりが起こったり、ひえやほてり、汗、しみ、そばかす、しっしん、鳥肌などが来ることがわかっています。このようなからだの表面と内部は密接な関係があります。ツボはその急所を示しているわけです。

 つまり、ツボはエネルギーの通り道だと考えたらいいでしょう。東洋学では人間に必要なエネルギーを気血(きけつ)といっていますが、六臓六腑が正常に働くために必要なエネルギーを供給する循環経路、これがすなわちツボ(経路)と呼ばれるものです。

 経路(ツボ)は、六臓六腑に1つずつ、12あります。そしてこの経路は、最初に肺の臓をめぐる肺経からスタートして、大腸経、胃経、脾経、心経、小腸経、膀胱経、腎経、心包経、三焦経、胆経をへて、肝の臓をめぐる肝経からまた肺経にもどって全体が1つの流れにつながるわけです。

 経路にはこのほかに、からだの前面と背面の中央を走る任脈と督脈の2つがあり、この14の経路をエネルギーが正常に流れているかぎりからだは健康です。

 指圧法は、按摩、マッサージの圧迫法の圧し方や圧す時間に変化を与えて、多様性をもたせたものです。ふつうは手のひらや親指で静かに力を加えながら圧し、また静かに力を抜いていく圧し方が用いられますが、徐々に力を加えてから急に力を強める圧し方とかいろいろあります。

 しかし、専門家は神経反射の効果をねらって、急に力を加え、急に力を抜く衝撃圧法なども用います。

皮膚に垂直に圧す

 主として親指、あるいは親指以外の4指で圧します。圧し方でいちばん大切なことは、安定した圧し方をすることで、こりや筋の緊張など、圧す対象をしっかり指でつかまえて圧します。どのような圧し方をする場合でも、皮膚を引っ張るような圧し方をすると痛みますから、常に皮膚に垂直に圧します。

 やり方の要点は、指先で圧すのではなく、からだ全体の重みを相手のからだの硬化の度合いに応じて加減し、力が指先にかかっていくようにするのです。そして、圧している方向が、いつも相手のからだの中心に向かっているようにします。

 圧し方にはいろいろの種類があります。まず手のひらで筋肉をつかんではゆるめ、つかんではゆるめながらすすんでいく方法です(手掌圧迫)。また手のひらの手首に近い部分を使って圧する方法で、肩や背中に用います(手根圧迫)。

 もっとも一般的な圧し方は片手、あるいは両手の親指のはらを当てて、3〜5秒ゆっくり圧してから、ゆっくり力を抜き、つぎの部位にうつるという方法(拇指圧迫)ですが、親指以外の4本の指で圧す方法(四指圧迫)もあります。

快圧、軽圧から強圧まで

 圧す力は、ちょっと文字で表現するのは難しいのですが、軽圧、軽圧といって、静かに圧していって、相手が気持ちのよい程度にします。5〜8キログラムの力をメドにします。筋肉や神経に機能を高めることが期待できます。また、強圧といって、やや痛くなる程度まで圧して機能を押さえることを目的としたものもあります。

 指で圧すだけだと、その効果は1時間ぐらいで薄れてきますが、ツボに対する刺激をなるべく長くつづかせることが効果的です。そのために、つぼの上に米粒をバンソウ膏などで貼っておくと以外に効果があります。

指圧をするときの注意

 指圧や按摩、マッサージをする場合は、食事のすぐあとはさけます。これは食物の消化に必要な血液を消化器以外のところに誘導しないためです。また、排便、排尿をすましてから衣服をゆるめ、心身ともにゆったりした状態で、楽な姿勢で行ないます。

 ベッドを使う場合は硬いものを用います。スプリングが柔らかすぎると力が入らず、それにからだがゆれて気持ちがよくありません。

 ※ご存知ですか「東洋医学とは」

 医学には、現代医学といわれる西洋医学と東洋で発達した東洋医学があります。そして東洋医学は漢方療法と、按摩、はり灸療法があります。指圧もまた古法按摩の1方法です。また漢方薬というと、すぐ薬局で売っているゲンノショウコのたぐいだと思っている方がいますが、これは民間薬であって漢方薬ではありません。専門医の指示処方によって調剤された漢方薬による治療法こそ、本当の漢方療法なのです。要するに、東洋医学の特徴は、生体の自然治癒力を大事にし、そこに力点をおいていることです。

こんな病気・症状に効果がある
○血行障害
○全身のこり(肩、首、背中、腰、足)
○偏頭痛
○眼精疲労
○不眠症
○疲労回復

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