@気功法(老化防止で四千年の歴史をもつ中国式健康術)

指導・佐々木一介(自然操法協会)

 気功法は4千年の歴史をもつといわれる中国独特の健康法です。「気」などというと、得体の知れないものと思いがちですが、気とは精神の生み出す力、人体の根元的なエネルギーをいいます。功とは工夫された力という意味ですから、気功とは、気の力を最大限に発揮していく自己トレーニング法であり、自己治療法といえます。自分のうちに秘められた生命のエネルギーに気づき、それによって健康度を高めようというものです。

脳の中枢に働きかける合理性抜群の自己トレーニング

 気功とは、自分が本来もっている力によって病気を克服し、より健康になるために“気”の力を練ろうというわけです。ですから、広い意味では、太極拳もヨガも、坐禅も気功といえます。

 東洋医学では、病気を“気”の乱れ、からだの秩序の乱れとしてとらえています。もともと人体は1つの“小宇宙”であり、自然の摂理にしたがって働いており、その摂理からはみ出した生活を送っていると“病気”になるのだ、とみられているわけです。

「心身一如」の考え方

 東洋医学では「心身一如」という言葉であらわすように、心とからだは本来一体のものだとみており、内臓の調、不調は“こころ”の反映であり、感情の起伏はそのまま内臓に強い影響を与えると考えます。したがって、こころの働かせ方によって病気をつくることもできるし、なおすこともできるというわけです。気功の原理もここにあるのですが、“気”はそのこころとからだをつなぐものと考えているのです。

  ですから、「気功」は、からだの具合の悪い部分に働きかけて病気をなおそうというのではなく、脳の中枢に働きかけて、脳自体を活発化し、その力を強めて、精神機能や代謝機能、免疫機能を高めて、からだの働きを正常な状態にもっていき、健康を保っていこうというわけです。

  
気功だけでなく、東洋の健康法で忘れてならないのは、調身、調息、調心の3要素です。無理のない、自然姿勢をとり、練習中には呼吸をととのえ(調息)ます。この調息は非常に重要なものとしてあつかわれています。また調心とは雑念を払い、無念無想の境地を得るために意識活動をコントロールする訓練法を行ないます。

  
気功法の具体的なやり方(操法)にはいろいろありますが、そのうち2,3の操法をとり上げてみましょう。

  <肩こり・首のこりにきく操法>

 肩や首のこりを治すには、特に背中から肩、首にかけての筋肉を大きく動かしていくような、日常動作と反対の動作の体操法を行えば、抜群の効果をあげられます。

@背筋を伸ばし、つま先をそろえて立ちます。両腕は指先までまっすぐに伸ばし、体側につけます。
A次に息を深く吸い込んでください。
Bゆっくりと息を吐きながら、右腕を前から頭上へ上げていきます。
 このとき、指先の動きを視線で追いながら、顔も上に向けます。
Cさらに息をゆっくり吐きながら、右体側を伸ばし、右腕を力いっぱい上にさし上げます。
D息を吐ききった瞬間に、全身の力をいっきに抜き、右腕をストンと下に落とします。
E次に左手を同じように行います。

<ポイント>
左右交互に2回ずつ行ってください。
 
    <便秘にきく操法>


 便秘を治すには、まず腹部を柔らかくする操法を行ってください。腹部を柔軟にすれば、腸の働きも高まり、自然に排便が促されます、同時に、精神的ストレスを取り除き、精神を安定させることが必要です。

@左足を前へ出すように、両足を前後に開きます。
A右腕を前に伸ばします。このとき右手の手のひらは下に向け、指先を伸ばします。
B息を吸います。
Cいっきに息を吐き、後ろの右足をおもいきり前にけり上げます。
 前に伸ばした右手の手のひらをけり上げるようにします
D息を吸いながら、右足をもとの位置にもどします。
E同じ動作を5回くり返します。
F右足を前へ出し、両足を前後に開きます。右足をけり上げたときと同じように、左足を5回けり上げます。
  勢いよくけり上げることが大切です。

    <胃潰瘍にきく操法>

  胃潰瘍を治すには、気持ちをリラックスさせると同時に、肩甲骨の両側にできているこりをほぐす体操法を行うと効果的です。

@背筋を伸ばし、腰幅よりやや広めに両足を開きます。両手の指先は胃の部分に当てます。
A息を吸いながら、腹をふくらませてください。
B頭を前に倒し、目はへそを見ます。
Cゆっくりと息を細く細く吐きながら、背中を丸めていきます。このとき指は胃の中に押しこみ、腹もへこませます。
D息を吸い込みながら腹をふくらませ、上半身を起こします。このとき、背筋は伸ばす必要はありません。

  <ポイント>
 ゆっくりと行ってください。10回くり返します。


気功法で呼吸は減少し逆に胃腸は活発化する


 現代人の呼吸は1分間に平均17〜18回。ところが気功法で鍛錬すると4〜5回、あるいはそれ以下に減
少するといわれています。

 その状態をグラフでみますと、曲線はやわらかく、均一で、力強く安定した呼吸をしているのがわかります。同時に、横隔膜の上下動の幅は、通常の3、4倍に拡大されます。珪肺病患者を対象にした観察では、胸囲は平均2.8センチ、止息試験は平均18.4秒、肺胞換気量は13パーセントの増加を示し、ほぼ正常に戻ったことを証明したそうです。

 
このように有効な気功法鍛錬は、酸素の消費量、二酸化炭素の排出量をともに低下させ、そのうえエネルギーの消費も減少させることがわかりました。つまり、このことは肺胞の有効換気量が増加してガス交換が良好となり、たとえ呼吸回数が減少しても、生理的な酸素需要は満たされることを証明しているわけです。
 
 
もう1つ重要なことは、気功法の鍛錬中は胃腸のぜん動が活発になることです。逆に病的なぜん動は抑制されますから、胃腸の廃棄機能は高まり、便の通りがよくなります。また唾液中のアミラーゼ含有量が増えますから、病人などが気功法を用いますと食欲が旺盛になり、体重がふえてきます。

 
気功中の心身の変化は、効感反応、自覚効応、あるいは気感と呼ばれています。とくに鍛錬の初期に感じやすいからだの変化に、八触と呼ばれているものがあります。つまり、だるい、冷たい、熱い、はる(圧力感)、しびれる(かゆみ)、大(広がる、重い)、小(収縮)、光(光を感じる)―などの八つです。

 ヨガの行のなかには、シャバアーサナといって、人が仰向けに横たわる完全弛緩のポーズがあります。気功法や自律訓練法も、呼吸をゆったり行って、手足の先から、徐々にまんべんなく全身を深くゆるませていくと、しだいにからだがだるく、重く沈み、心はすっかり穏やかに安静します。また手足の先がだんだん温かくなり、指先などにはれぼったい感じが出てきます。それと同時に、からだのいろいろな部分に、虫のはうようなかゆみと心地よいしびれを感じるようになります。

 
しばらくその状態を深めていくと、からだの感覚が消失して、心身が大地にとけ込み、一つになっていくような、温かな(あるいは涼しい)気流が体内をめぐり、やわらかな光に全身が包まれていく感覚が生まれてきます。意識だけが軽くなって宙に浮いてくるような、そんな気持ちに満たされます。
 
 
深いリラクセーション―これが気功法でいう八触なのです。

 
気功法では、八触以外にもさまざまな気を感じる経験をします。たとえば、背筋を伸ばし、リラックスして座る。両掌を4,5センチはなして向かい合わせる。呼吸をゆったりして、肩ひじの力を抜き、両の掌の間の空間に意識を集中させる。ただし、気持ちは楽に、過度の緊張はしないように、また掌や指先に力を入れないようにする―そうすると、1分もしないうちに掌や指先が温かくなっていき、しびれやかゆみを感じるようになります。

  たんとう功

@    かかとをそろえてまっすぐ立つ。
A    右足先をしめて正面に向ける。
B    左足を横に半歩開いて体重を両脚中央に落とす。
C    両腕を徐々に丸く外に張り出していく。
D    弓のように丸く両腕を張り出し、この姿勢を保ちながら全面的にリラックスしていく。


  寧神調息

@    指を向かい合わせるように両手を下腹の前にもってくる。両腕を丸く外に張り出すようにしておく。
A    両手をゆっくりと胸の前まで上げていく。
B    掌をゆっくりとかえす。
C    両掌を下に向ける。
D    両掌を静かにおし下げる。
E    両掌を下腹の前までおし上げる。
F    両掌をゆっくりとかえす。
G    もとの姿勢にもどり、また同じ動作をくり返す。

  分雲棒月

@    両腕を体側に開いて立ち、両手を前方に向ける。
A    両手を体側からゆっくり上げていく。
B    両手を肩の高さまで上げる。
C    両掌を斜め上に向ける。
D    両手首を寄せる。
E    両ひじを外に張るようにしながら両手首を寄せてくる。
F    両掌を顔の前まで寄せてくる。
G    両掌を下の落とし始める。
H    両掌をゆっくりと胸の前まで落とす。
I    両掌を下腹の前まで落とす。

  左右托球

@    体重を右側に移動する。
A    掌を上に向け、両手を下腹の前におく。
B    左脚をひきよせ、右手を上に左手を下に回してくる。
C    両手で大きな球を抱きかかえるようにする。
D    左足を踏み出す準備の型をとる。
E    左足を斜め前方に踏み出す。
F    左手を斜め上に上げ、右手を斜め下におし下げる。
G    左手を肩の高さまで上げ、右手を腰の脇までおし下げる。
H    体重を前方に移動し、左脚にのせる。
I    両掌を同時にかえし、掌を斜めに向かい合わせる。
J    体重を右脚に戻してくる。
K    左足を戻し、左手を上に右手を下にして体の前に球を抱えるようにする。
   Dからの動作を左右を変えてくり返す。
L    両手が腹の前で個を書くように上げ、下げる。体重を右脚にのせる。
M    左足を斜めに半歩踏み出し、両掌を斜め前方に向ける。

  双手推山

@    両掌を下に向け、下腹の前にもってくる。
A    体重を左脚に移動しながら両手で前方におし出していく。
B    両掌を胸の高さで山を推す形をとる。
C    両掌を返し上に向ける。
D    体重を右脚に戻し、両手をひいてくる。
E    両掌を上に向けたまま下腹の前までひいてくる。
F    左足を戻し右わきによせる。


こんな病気・症状に効果がある
○ストレス
○心身症
○自律神経失調症
○肩こり
○便秘
○胃潰瘍

 (連絡先=自然操法協会・東京都渋谷区笹塚1−61−6 浅井ビル2F
  
     電話03−277−0150)

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