「楽しく遊ぶ会(遊びの学校)」

【懐かしくて新しいチャンバラを親子で楽しもう!】 

今回は、「スポーツチャンバラ」を紹介しましょう。 現在、国際大会、日本内外の各地域大会はもとより、地域のコミュニケーションづくり競技会、日本レクレーション協会の各大会などで、老若男女の共通スポーツとして広く普及してきており、特に最近は各地の保育園・幼稚園の体育指導、小・中・高校の課外活動、そして大学の部活やサークル活動にも取り入れられてきています。前作の「3年B組金八先生」でも長く取り上げられていたので、よくご存じの方もおられることでしょう。 

◎スポーツチャンバラとは

 剣道や銃剣道などの、重い防具や固い規則に縛られている不自由な武道ではなく、自由に野山を駆け回って遊んだ「チャンバラごっこ」に注目したのです。 新しい用具とルールを開発することで「安全と公平」を生みだし、体育館で行う現代的なチャンバラごっことしてスポーツの土俵に引っ張り上げたのです。用具は「エアーソフト」という柔らかい棒状の物で、その中身は世界中どこにでもある空気なのです。これで、世界中の人々が共通のスタンスで競技できるようになりました。防具には軽量面と小手(普段はあまり使いません)があります。

◎スポチャンの競技種目

 選手はエントリーする種目により、次のようなカテゴリーに分かれます。
  1. 「短刀」の部......全長45p以下
  2. 「小太刀(こだち)」の部......全長60p以下(この小太刀がチャンバラの基本です。保育園の子どもたちも、主にこの小太刀を使います。「小太刀護身道」と相まって老若男女を問わず根強い人気があります)最近では、「盾・小太刀」という種目も増えました。これは、片手に盾、もう一方の手に小太刀を持ったローマ戦士のスタイルです。
  3. 「両手長剣」の部......全長100p以下の長剣を用い、原則的に両方の手で持つ。いわば日本流で、剣道を想像してください。
  4. 「片手長剣」の部......同じ長剣でも、こちらはフリーハンド。ヨーロッパのレピアやサーベル流の使い方。
  5. 「二刀流」の部......小太刀と長剣の2本を使うもの。
  6. 「杖」の部......全長140p以下で、これの愛好者はまだ多くありません。
  7. 「棒」の部......全長200p以下で、上下どちらからでも打てるように工夫されています。
  8. 「槍・なぎなた」の部......全長200p以下。スポーツチャンバラは、これら8つの種目に分けて競技し、大会では最後に、各種目のチャンピオンが代表して、それぞれの武器で戦います。そして、そのチャンピオンが、その年度の唯一の「世界チャンピオン」となります。
 以上は個人の競技会ですが、ほかにも様々なバリエーションが用意されています。たとえば、1対1で行うものは「対戦」といい、1対3などのように異なる人数で戦うものを「乱戦」、10対10、50対50など集団で戦うものは「合戦」といいます。
 力の差や体格の差のある場合(子ども対大人など)は、剣の長さを変えて対戦すれば、その差が克服できるのです。また、引っ込み思案の子も合戦や乱戦の仲間に入って、体育館や運動場、野山を力一杯かけまわれば、日頃のストレスや運動不足もいっぺんに解消します。それから、通常、勝敗は一本勝負で決します。足の先から頭のてっぺんまでどこを打っても一本で勝ちです。ただし、相打ちは両者負けとなります。使うのはソフト剣でも、試合は、真剣勝負なんです。自分の身を護って、いかに相手の動きを制するかを重視します。
  保育園でも、毎日、だれかが、どこかでチャンバラをしています。子どもたちは好きな仲間と忍者になって走り回ったり、1対1で勝負をしたりと、楽しんでいます。そして、このチャンバラあそびも、正式なルールで試合をすれば、スポーツチャンバラになり、世界中のいろんなスタイルの剣豪たちと、老若男女を問わず安全に楽しく競技ができるわけです。
 思いっきりたたかれると、いくらソフト剣でも、やはり痛いんです。そこで、いつの間にか機敏に剣先を避けることができるようになります。すると、相手をたたくときにも手加減できるようになります。打たれた痛みによって他人の心を感じることができる人になること。お互いを理解し合い、他を認め、喜びや悲しみを感じる豊かな心も育めます。このように自分が痛みを経験することで、他人の痛みも分かるようになれば学校での「いじめ」も少なくなるでしょう。また、スポーツチャンバラを初めて10数年、保育園でこどもたちと遊ぶようになって9年になりますが、毎日遊んでいる子どもたちは、チャンバラではほとんどケガをしません。
 また、スポチャンとは、騎士道精神、武士道精神すなわちフェアープレイを尊重し、勝負にこだわらず、物事に執着しないで負けたことをいさぎよく認めることができ、相手を讃えることができるさわやかな人間になって、世界人に仲間入りをさせていただくトレーニングの場だと思っています。 この「日本発チャンバラごっこ」が、今、スポーツとなって「真のグローバルスポーツ」として、世界中にひろがっていくことを願っています。(濱田宏陽)

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