2.「学習力向上理論」とその手法 

@ 記憶

 人間の脳には無数の記憶(記録)が存在しますが、その殆ど(すべてと言っても過言ではないかも知れません)がイメージ化された記憶です。

 通常、学習は理論で学ぶと思われがちですが、人間の頭は理論を記憶することを苦手としています。(個人差はありますが) ところが、イメージとして覚えることについては苦手な人はありません。現に、誰もが日々新しいイメージを苦もなく次々と記憶しており、その記憶を頼りに私たちは生活しています。 (参照@)

 更に理論として覚えたことはとても忘れやすいのですが、イメージとして覚えたことは簡単には忘れないものです。 (参照A)

A 学習のポイントは「イメージ」

 つまり多くの人が、理論で学び覚えようとしているので学ぶことに苦労し、しかもせっかく覚えたこともしばらくすると忘れてしまうという結果になってしまうのです。

 学校での授業について行けない子どもたちを調査した結果、先生の言うことが理解できないことが分かりました。これではイメージを描くことはできませんので覚えることもできません。

 イメージを思い描ける学習は分かりやすいだけでなく、とても楽しい学びの場となります。しかも学んだことをよく覚えることができます。

 つまり、学ぶ時にイメージを抱けるかどうかが重要なポイントなのです。(参照B)

B インプット能力

 学べる頭をつくるとは、イメージできる頭をつくることです。そのためには先ず、情報をインプットする能力(聞き取る・読み取るなど)が必要です。

 学習力の低い子供たちを調査すると、情報処理速度が遅く、語彙数の少ないことが明らかになりました。大人であっても自分の知らない専門分野の講演などでは話しを理解できない(イメージが湧いてこない)ことがあります。「聞き慣れない言葉が出てくる度にその意味を理解するために多少の時間が必要なのに、講演者はドンドン先へ話しを進めてしまい、その結果、話しは理解できないままで進み、講演が終わる頃には疲労感さえ感じた。」などといった経験はないでしょうか。学習力の低い子供たちは、学校で毎日同じような経験をしているのです。

 では、この問題にどのように対応すればよいのでしょうか。答えは簡単です。

 情報処理速度を速め、語彙数を増やせばよいのです。このトレーニングによりインプット能力は確実に向上します。  

C 情報処理能力

 インプットの能力が向上すると大量の情報が流れ込むようになります。実はインプット能力は=(イコール)情報処理能力であり、インプットされた情報は自動的に次々と頭の中で処理され、蓄積されてゆきます。蓄積された情報が積み上げられてゆくと「点から線へ、線から面へ」という表現どおり、理解力=イメージ力は向上します。

 理解力が増せば、インプット能力は更に向上し、インプットされる情報が増えるほど理解力は更に向上するという相乗効果の関係にあります。

D アウトプット

 いくら良いものを多く学んでも、それだけでは良いものとはいえません。学んだことを役立てて初めて良いものを学んだといえます。

 学んだことを役立てるためにはアウトプット(話す・書くなど)が必要です。アウトプットには、理解を向上させイメージを強くする相乗効果もあります。暗記をするために、繰返し声に出して読み上げたり、何度も書いたりすることが効果的な理由はここにあります。

 アウトプット能力は、イメージを理論化する能力であり、言葉や文書で説明するには理論化する能力が重要になります。 

E 楽しい学習

 これらの能力が総合的に向上すれば、学習(=情報のインプット)はとても楽しい時間になります。世の中に学ぶことが嫌いな人は誰もいません。(学ぶ内容の良し悪しは別にして)すべての人が新しい発見に心をワクワクさせるのです。

 そのために重要なのが、学ぶ力=学習力であり、学習力=イメージ力です。  

 学習力向上プログラムはこの能力を向上させるために企画・開発されました。

参照@

 誰にも日々見慣れた風景があります。それを写真に写し、その人へ3秒間だけ見せます。さあ、その人はそれがどこの写真か分かるでしょうか?

 その人が日頃から見ている目線でとった写真であれば、その人の頭の中にある無数のイメージから一瞬にして一致するものが取り出されます。

 ところが、その人の見たことのない目線でとった写真であれば、一致するイメージが頭の中にありませんので理論に頼らなければならなくなります。写真の一部と記憶にあるイメージを照らし合わせる作業が始まるのです。そのため記憶と一致させるために多少の時間と、もしかするとヒントも必要になるかもしれません。

 もしも、いつも見ている目線で自分の住んでいる家を写したとしても、写真を裏焼きすると殆どの人が、自分の住んでいる家であることさえ気付きません。イメージがないからです。

 私たちは、常に記憶にあるイメージとまわりの状況を比較しながら生活しています。そして常に新しいイメージ(情報)を入力し続けています。

 歩く時、車を運転する時にも、常に今までに蓄積されたイメージと照らし合わせながら、今自分がどこにいてどの方向に向かっているのかを判断しています。

友人と会ったときにも、今までに蓄積されたイメージと照らし合わせる作業を無意識の内に行っているので、友人のヘアスタイルが変わっていればすぐにわかるといった具合です。

参照A

「○○年前の○月○日にどこにいて何をしていたか?」と聞かれても思い出せる人は滅多にないでしょう。ところが、一枚の写真を見ただけで、それがいつで、どこにいて、その日にどんなことがあったのかまでも思い出したという経験はないでしょうか。

 イメージに頼ると驚異的な記憶力を発揮できることも少なくありません。

参照B

 イメージを描くためには、理解できる言葉で、イメージする余裕のあるスピードで、興味ある内容について、理解できるものを基本にした説明が必要です。

 

Copyright (C) 2001-2003 Sunshine Forum Japan. All Rights Reserved