聞き上手

福井県 池田千鶴

 保育所で3歳児健診を受けた時の事です。「お母さん方は、日頃のいそがしさから、お子さんに背中で返事をしていませんか」という問いかけに、私はハッ!!としてしまいました。台所に立っていて、、また、そうじをしていて、子どもが話しかけてきた時、「あとで!!」「ちょっとまってて!!」といそがしそうに顔も見ずに答えているのでした。そんな時子どもは、しつこく甘えてきて、私の体にまとわりつき、だだをこねるので、結局家事にてまどってしまうのでした。それで、私は、大変なんですが、いったん手を止め、子どもの目線まで腰をおとし、じっと目を見て、「なあに」と答えるようにしました。子どもはうれしそうに、「あのな・・・あのな・・・」と目をかがやかせ話すのです。「そう!それで?」とあいづちをうってあげると、自分の気がすむまで話していきます。それで大満足で私から離れ、自分の遊びの世界へもどっていくのでした。時間にすれば5分ほどです。たわいのない話ですが、子どもにすれば「すごく重要な事を話してやっているんだ」という気持ちなんでしょうね。話を聞いた後に、「ありがとうね」の一言をつけ加えれば、子どもはるんるん気分です。大人のちょっとした一言で子どもの心は明るくも暗くもなるんですね。聞き上手にならなければ子どもの気持ちはわからない・・・。子どもの気持ちがわからなければ、子どもの気持ちがつかめない。これが、子ども3人育てている今の私の実感です。そして、これは大人の世界にも通じる事ではないでしょうか?それから、「子どもの目」って大事だと思います。子どもだけじゃなく「人間の目」ってただ物を見るだけのものじゃなく、心も見ることが出来るんだという事を、子育てを通じてあらためて感じました。子どもから学ぶことって大きいナア・・・と思う今日この頃です。