一等賞のリボン
新潟県 磯部利恵子
息子が小学1年のときでした。走るのが苦手な彼は、いつもかけっこでビリでした。そのため、運動会は大変な苦痛なのです。当日は頭が痛くなったり、お腹をこわしたりして体で抵抗したり、また3等賞までの子ども達には色違いのリボンが手渡されるので、そのリボンにあこがれていた息子は相当くやしい思いをしたようです。そこで私は家に帰ってから、きれいなリボンに1等賞と書いて家族みんなの前で「よくがんばったね」の言葉をそえて胸につけてやりました。そのことがとてもうれしかったらしくて、友達にも話したらしいのです。そんなことがあってから走るのが苦痛でなくなったのです。運動会も平気になりました。自信がついたのか、4年生ごろからはぐんぐん走り出して1等賞になったのです。今、高校2年生ですが走るのは相変わらずの1等賞です。努力したことを認めて、ほめてやることの大切さを知ったできごとでした。
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