トマトは私の赤ちゃん

佐賀県 田中貴代

 長女が3歳の頃、急にトマトを食べなくなりました。自分なりに料理も工夫してみたのですが、やっぱり食べてくれません。そんなある日、花屋さんにトマトの苗が並んでいたので、それを買い求め、トマトの嫌いな長女に育てさせることにしました。「優ちゃんが、今からトマトのお母さんよ」と言いながら一緒に苗を植え、水をやりました。それから2、3日後の雨の日、苗のそばに座り離れようとしないので理由を聞くと「トマトが雨にぬれたらかぜひいてしまうよ。傘着させてあげないとかわいそうよ」と一生懸命言うのです。毎日、自分から進んで水をやり、やがて真っ赤に熟したかわいいトマトが誕生しました。内心ドキドキしながら「食べてみる」とたずねると「優ちゃんの赤ちゃんよ!!」と言ってパクリッ―。それ以来、トマトが大好物となり、親子共々喜んでいます。