おかたづけのあとは秘密のパーティー
北海道 塙 留美子
子どもが6歳(男)4歳(男)2歳(女)の頃の話です。公宅住まいに5人家族。遊んだり勉強したりした部屋がまた寝室にもなるのです。足の踏み場もないほど散らかったおもちゃや絵本。「さあ、おかたづけしようね」と何度声をかけても、するのはそのときだけ。かたづけかけたおもちゃでまた遊びだします。なんとかふとんを敷きおえると今度はプロレスごっこ。絵本の読み聞かせをすませ川の字に並んでもくすくす笑い出したり、おしゃべりをしたり、なかなか大人だけの時間がやってきません。お父さんが早く帰ってきた日は、1人がお風呂に入れ、1人がかたづけとふとん敷きをして、というふうに連携プレーができるのですが、1人のときは本当に大変です。ある日、お母さんが夜外出するという魔の日がやってきました。そこでお父さんは考えました。長兄を呼んで「オイ、チビ達が寝たらそおーっと起きてこい。2人で秘密のパーティーしようぜ」、そのときのお兄ちゃんのはりきりよう。かいがいしく弟や妹をはげましておもちゃをかたづけさせ、ふとんを敷き、さっさと寝かせてしまったのです。弟や妹が寝たのをたしかめてそおーっと起きてくると、きれいにかたづいた食卓テーブルの上には、お父さんが考えたゲームがひろげられ、その上魅惑的なお菓子とジュースまでおいてあるではありませんか。お父さんと2人っきりの楽しいひととき。男同士の会話をかわし、ちょっぴり大人になった気分です。いつも弟や妹にまとわりつかれ、めんどうをみなければならない兄貴はつらい。たまには1番先に生まれてよかったなあと思える日がないといけません。お母さんが帰ってくると、お父さんと目くばせなんかしちゃって、大満足のお兄ちゃんでした。
![]()