自分のものと他人のもの

山口県 植田雅恵

 私はあまり“しつけ”ということに関心を持ってはいなかったのですが、近所の子が遊びに来て、我が家の冷蔵庫を勝手にあけて「ジュースはないんねエー」と言った言葉に寒気がしました。―その時長女1歳くらい―それで私は、家の冷蔵庫は絶対わが子にも開けさせなかった・・・。人のものと自分のもの、人の家のものと自分の家のものの区別がつく頃までは(とりあえず幼稚園に通うまで)。それで長女は別にそれが当たり前となっていた。でも3歳に鳴ったくらいから、よその家に行くと冷蔵庫の前に立って「牛乳、入ってるの?」とかいろいろ聞くようになってきて、私は、自分のしてきたことを考えさせられましたが、それでも冷蔵庫は開けさせなかったのです。そしてまた、近所の子が来て我が家の冷蔵庫を勝手に開けてヨーグルトをだして食べだしたのを娘が見て、「どうして冷蔵庫開けるの、これは真衣ちゃんとこのもんよ。ママとパパしか開けれんのよ」とその子に言っているのです。それから私は、人のものと自分のものの区別がつくようになったんだと思い、入園式の日に生まれて初めて冷蔵庫を開けさせました。今では次女1歳半が冷蔵庫を開けようとすると、長女が「珠ちゃんはまだダメよ、真衣ちゃんがとってあげるね」と下の子に対しても、そういう風に言っている言葉を聞いて、私は、うれしくてたまらなかったです。もちろん、私1人の子育てではありません。主人も冷蔵庫の件には賛成してくれて、「冷蔵庫は、やっぱ、わからないうちは妥協せず、ちゃんと区別がつくようになるまでやり通そう」と言ってくれたので実行に写したのです。