4歳半の長女が父親嫌いで困っています。どうしたら父親になつくでしょうか

「4歳6ヵ月の長女ですが異常なほど父親嫌いで困っております。弟が生まれてからは、それがとくにひどくなり、最近では主人の言うことにことごとにさからいます。以前にこの子がオイタをすると主人が「お灸をすえますよ」と叱ったことがよくありました。こんなことも原因しているのでしょうか。女の子は父親になつき甘えると一般には言いますが、どうしたらこの子も父親になつくようになるでしょうか。」

お父さんが男の子を強く望んでいたのでは・・・・・・

子どもは、自分を本当にかわいがってくれる大人であることを感じ取りますと、じきにその人を慕うものです。その点で、非常に敏感な存在であると言えましょう。

気になるのは、お父さんが男の子の出生を強く望んでいたのではなかったかということです。男の子を強く望んでいるお父さんは、女の子が生まれるとがっかりします。それを言葉で表現する人もいますが、あらかさまでなくても、その心が表情や子どもの扱い方に反映することが少なくありません。赤ちゃんだったときに、あやしたり抱いたりしたでしょうか。赤ちゃんは、あやされたり抱かれた人を慕います。あるいは、赤ちゃんだったときに、「高い高い」をするなどで遊んであげたでしょうか。赤ちゃんは、遊んでくれる人を慕います。生後1年間に、女の子をどのように扱ったかによって、その後の父娘関係が影響されます。

お父さんが1人っ子で育ったようなことがありますと、幼い子どもの扱い方を経験していませんので、子どものほうでもお父さんになじみにくくなってしまいます。しかし、弟のほうにはよく相手をするというのであれば、明らかに男の子を強く望むお父さんと言うことができましょう。

わが国では、今日もなお、男の子を強く望むお父さんが少なくありません。2番目の子どもが再び女の子で あ  ったりすると、病院に見舞いにもこないというお父さんもいるほどです。このようなお父さんには、跡取り意識が強 く、その意味では封建社会(タテ社会)の意識を強くもっていると言えましょう。それを逆に言えば、女性を蔑視する 考え方をもっているということになります。その点で、お母さんに対するお父さんの態度はどうでしょうか。「おれの  後についてこい」とか「おれの言うことに従っていればいい」などの発言はないでしょうか。

このようなお話をするのは、男尊女卑の意識をもっているお父さんの考え方を、今更変えようとしても、それは  なかなか困難であるからです。私は、お父さんの成育史の中でその考え方が強く植え込まれてしまっていること  を多く経験しています。しかも、あまり子ども好きでなく、「家事や育児はお前にまかせた」などといって、お母さんを 援助しようとしない考え方も、結びついている可能性があります。

お母さん、お父さんと女の子の仲人役を

もし、お父さんが女の子をかわいがるようになる見込みがあるとしたら、親子3人で遊園地に出かけ、お父さんといっしょに遊ぶ機会を作ってみるとよいでしょう。赤ちゃんは誰かに預かってもらうことが必要です。それは、お母さんが、お父さんと女の子の間の仲人役を演ずる必要が生じるからです。お母さんと子どもが楽しく遊んでいる中へお父さんにも参加してもらうなど、よいチャンスを見つける役割をとってあげるとよいでしょう。あるいは、3人で1泊旅行をするのもよいと思います。もちろん、下の子どもは預けていくことが必要です。そして、お父さんといっしょにいたことで楽しかったという経験をしますと、お父さんに対する子どもの抵抗感が少しずつうすれていきます。ですから、3人で遊びにいくという試みも、回を重ねる必要があります。

そして、お父さんのひざの上に子どもが乗るようになれば、父娘の情緒的な結びつきはできたと見てよいでしょう。さらに、お父さんに「添い寝」を求めてくるようになれば、子どもの心には、温かいお父さんのイメージが刻み込まれたと言ってもよく、思春期以後の女の子の男性観によい影響を与えるでしょう。

お父さんと女の子との間の情緒的な結びつきができ上がるまでは、子どもにあれこれを注意をしたり、子どもを叱ることのないようにする必要があります。子どもは、叱ってばかりいる人を嫌いになるからです。しかし、多くはその子をかわいがっていない場合です。子どもはかわいがってくれている親に対しては、叱られるようなことがあっても、絶対に嫌いになることはありません。親と子どもの関係は、子どものほうで、自分をかわいがってくれているお父さん・お母さん―という信頼感があるかどうかにかかっていますし、信頼感が子どもの心に育つように、子育てをすることが大切です。


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