兄弟なのに、毎日けんかばかり。お兄ちゃんらしくしつけるには

「兄は4歳3ヵ月、妹は2歳2ヵ月の2つちがいの兄妹ですが、物の取り合いやら先争いやら毎日けんかばかりして、手を焼いております。お兄ちゃんがお兄ちゃんらしい気持になってくれればいいのですが、妹と同じ気になっているので困ってしまうのです。お兄ちゃんらしくしつけるにはどのように指導したらよろしいでしょうか。」

「お兄ちゃんらしく」はまだムリです

昔から、きょうだいは寄るとさわると「けんか」をする―と言われてきたように、きょうだいには「けんか」はつきものと考えることが大切です。ことに、きょうだいの年齢の差が少なければ少ないほど、「けんか」が多いものです。よく、「きょうだいは仲よく」と言われ、それを子どもたちにも望みますが、これを急いではなりません。目標は、大人になったときに、お互いに助け合う気持をもってくれればよく、目の前の子どもに「いつも仲よく」を望んではなりません。

「いつも仲よく」といったお母さんの願いを達成しようとすると、どうしても上の子どもを叱るようになってしまいます。「お兄さんなのだから」と言って、上の子どもをがまんさせてしまうことが多くなります。例えば、上の子が一生懸命に遊んでいるところへ下の子がいってその遊びを妨げたりしますと、上の子は怒って下の子を突き飛ばしたりするでしょう。下の子はもちろん泣きます。そのときにお母さんはどのような態度でのぞんだらよいでしょうか。上の子を叱るようなことがあれば、大失敗です。下の子を憎む気持が強くなってしまいます。だんだん下の子をいじめることが多くなります。ですからむしろ、上の子をかばってあげることのほうが大切です。下の子が上の子の遊びを妨害したのですから・・・・・・。お母さんだって、仕事に熱中しているときに、「お母さん、お母さん」と子どもから呼ばれたら、「うるさいね」と言いたくなるでしょうし、仕事に手を出されたら、子どもの手を叩きたくもなるでしょう。上の子の立場に立って考えてあげることができれば、決して叱るようなことはしないでしょう。あるいは、「じゃまをしてごめんね」と言って、下の子を抱き上げ、上の子の遊びのじゃまをしないように工夫するでしょう。そうなると、上の子の情緒は安定しますし、自分の気持を汲んでくれたお母さんの温かいイメージを心に刻みつけるでしょう。このように上の子どもを扱っていれば、鏡台げんかはひどくなりませんし、5歳を過ぎると、少しですが、下の子に対する「思いやり」が芽ばえてきます。

きょうだいげんかは裁かないで

きょうだいげんかの原因としては、物の取り合いが多いのですが、そのときに、上の子どもにがまんを強要するお母さんが少なくありません。そのような扱いは、上の子の情緒を不安定にします。と言うのも、結果として、お母さんが下の子の味方をしていることになるからです。かりに、下の子の物を上の子が奪ったとしても、上の子を叱ることができません。お母さんとしては上の子が「悪い子」のように見えますが、その少し前に下の子が上の子の物を黙っていじっていたという状況があり、それに不満をもっていた上の子が、下の子をいじめるということがあるからです。

このように考えますと、きょうだいげんかを裁くことはできません。裁けば、どちらかを「悪い子」にでっち上げることになるからです。多くは上の子が責められますから、上の子には強い不満が残ってしまいます。

きょうだいげんかについて、ある子どもが「けんかごっこ」だよ―といったのが印象的です。ほんとに些細なことでけんかを始めるのは、「ごっこ」に似ている面があります。家の中でさかんにけんかをしているきょうだいであっても、2人で戸外にでるとかばい合っていますしきょうだいが夕方家に帰ってこなかったりしますと、非常に心配します。つまり、心の底では慕い合っているのですから、どうぞけんかはたくさんしてちょうだい―というおおらかな気持のお母さんになることができれば最高です。けんかをくり返しながら、年齢が高くなるについれて仲よしになっていきます。

お母さんがあまり意識しないで、きょうだいを差別していることがあります。それは、下の子が生まれると、もうお兄(姉)さんになったのだから甘えさせてはいけないという気持から、上の子のからだでの甘えを拒否することです。そして、下の子のからだでの甘えはかなり大きくなるまで受け入れてしまっていることです。それが、上の子にとっては非常に大きな不満となります。ですから、上の子どものからだでの甘えは、子どもが求めてきたときにはいつも受け入れてあげて下さい。大きくなってもかまわないのです。


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