幼稚園のころはとてもいい子でしたが、小学校に入ったとたん反抗に
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「小学校1年の女の子です。幼稚園のころはとてもすなおで、元気がよすぎるぐらいよく遊び、そして家の中では、落ちついた絵を描いたり折り紙を折ったりして静かにしておりましたのに、小学校に入ってから、まるで人が変わってしまったのです。乱暴をする、理屈を言う、口答えをするで、なすことすべて反抗している状態です。こんな子どもをどのように指導していけばいいでしょうか。」
すなおな「よい子」が実は問題なのです まず、幼稚園のころのお子さんについて考えることにしましょう。とても「すなお」―ということですが、これが問題なのです。わが国の親たちは、子どもに対して「すなお」を求めますし、「すなお」であると「よい子」と思っているのですが、それは、親の言うことに服従している子どもであって、自分の意見をはっきり言う子ども、つまり自己主張のできる子ども、つまり自発性の順調に発達してる子どもとは対照的です。自発性の発達している子どもは、「すなお」を望んでいるお母さんから見れば、扱いにくい面がいろいろとある子どもです。欧米の親たちが、子どもに対して「すなお」であることを強調しないのは、自分の意見をはっきりと言える子どもになってほしいからです。 また、家の中に静かにしていた―というのも気になります。子どもには、静かにしている面もあれば、うるさくはね回る面もあることが望ましいわけです。家の中で静かにしていることの多い子どもは、その点でお母さんから厳しい「しつけ」を受けた子どもであることが多いものです。自発性の発達にとって「いたずら」が重要であることはくり返し述べましたが(「毎晩、夜泣きがひどいのです。昼間はいい子なのに、なぜ・・・・・・。」参照)、小さいときからこの「いたずら」をやめさせてきたようなことはないでしょうか。とくに女の子だから―ということで子どもに圧力をかけるようなことはなかったでしょうか。つまり、お母さんが「よい子」と思っていた子どもの状態が、自発性の発達から見ると、必ずしも好ましい状態ではなかったのでないかと思われてくるのです。その点で、私の書いた『「心の基地」はお母さん』という本を読んでみて下さい。お母さんの考えていた「よい子」が誤っていたことに気づくのではないかと思います。 しかし、非常にうれしいことは、「元気がよすぎるくらいよく遊ぶ」お子さんであったということです。とくに戸外でお友だちといっしょに元気よく遊ぶ子どもは、自発性が発達していることを現しています。おそらく、お友だちにも恵まれていたのだと思います。 「中間反抗期」の自然な姿です では、小学校に入ってから、お母さんに対する態度がすっかり変ってしまったのはなぜかについて考えてみましょう。それは、7歳から9歳ごろにかけて、「中間反抗期」と私が呼んでいる状態に入ることが大きな原因となっているからですし、さらに、それまでお母さんに圧力をかけられていた反動が加わっていることが考えられます。「中間反抗期」に入りますと、「口答え」がさかんとなります(「学校ではいい子なのに、家では反抗的。なぜこんなに態度がちがうのでしょう。」以下参照)。いろいろと理屈を言うようになります。お母さん方が「こう言えばああ言うし、ああ言えばこう言う」というほど理屈をこねるようになります。このことを知っていれば、自発性が順調に発達している子どもであると考えて、喜んでよいはずです。私など、このような子どもと話をするのが楽しみです。なぜ「口答え」をするのでしょうか。それは、親たちの欠点が見えてくるからです。えらいと思っていた親にも、いろいろと欠点のあることが見えてきて、批判的になります。子どもからそれを聞いていますと、まことにもっともなことが多いのです。ですから、「口答え」や「理屈」を言い出したら、よく聞いてあげる親になって下さい。そうすると、そのことがよくわかります。お母さんの欠点をちゃんと指摘してくれるでしょう。これが、子から学ぶ―と言われてきた立場です。そして、「これからはお母さんも気をつけるわね」と反省している態度を示せばよいのです。お母さん自身、自分の性格を反省してみれば、たくさんの欠点があるはずで、それを子どもに指摘されることは、反省のよい機会になります。そうした反省の態度を示せば、子どもも「すなお」に自分の欠点を反省するようになります。「すなお」ということは、自分の心がありのままに見えてきて、欠点があればそれをなおす努力をすることなのです。 つまり、お母さんの「よい子」に対するこれまでの考え方を改めて、「反抗」したり「理屈」を言ったりする子どもを「よい子」として、お子さんの気持を受け入れてあげますと、「反抗」をくり返しながら、この時期を乗り越えていくでしょう。おそらく、自発性のよく発達しているお友だちと仲よしではないでしょうか。この年齢では、お友だちに刺激されて、自発性の発達が急に進み、すっかり人間が変わることがよくあります。 |
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