幼稚園嫌いで、通園バスに乗せるのが大へん。腕白で保母さんも手を焼いています
| 「4月から幼稚園に通っている5歳の男の子です。毎日通園バスがくるたびに泣いて、乗せるのにとても骨が折れます。また幼稚園に着くと、ほかのお子さんたちと教室に入るのをいやがり、外でぶらぶら遊んでいます。そして家ではやっている工作もやろうとせず、遊戯も覚えようとせず、保母さんも手を焼いています。うちでは腕白で、その上そこつ者。赤ん坊のときに2度も熱湯を浴びてヤケドをしたり、縁側から落ちて頭を縫ったりで、私の手にも負えません。どのように指導したら喜んで幼稚園に通うようになるでしょうか。」 過保護・溺愛をやめ、1日も早く幼稚園を楽しめる子に 幼稚園を嫌う子どもについては、2つの原因があります。その1つは、家庭で過保護や溺愛を受けていた子どもですが、もう1つは幼稚園に合わないことがあげられます。 過保護とは、生活習慣などについて、子どもに「まかせる」ことが必要であるのに、お母さんや家族の者が手を貸してしまっている育て方を言います。例えば、衣類の着脱などは4歳を過ぎれば子どもに「まかせて」おけば1人でやれるのに、お母さんやお年寄りが手伝ってしまっているのです。そのほうが子どもにとっては楽なので、いつの間にか、お母さんにされるままの子どもになっていたり、さらにはお母さんやお年寄りに命令して奉仕させるという子どもになっていることさえあります。子どもの命令や要求に従って奉仕したり、その要求を満たしている育て方を溺愛と言っています。 このような子どもは、家の中では非常に元気がよく、威張ってもいますので、家族から見ると意欲的な子どものように見えることがあります。しかし、家庭外に出ると消極的な行動が見られます。幼稚園ばかりでなく、1歩外に出ると意気地なしになってしまい、何かを聞かれても答えようとしません。昔から言われてきた「内弁慶の外すぼみ」ですし、引込み思案と言われているような子どもです。それは、家族のいない場所では不安が強くなってしまうからです。保護をしてくれる人のいない場所では、何もかも自分でしなければならないわけで、そうなると経験が乏しいので非常に不安が強くなってくるのですその不安から、子どもは幼稚園にいくことをいやがります。また、このような子どもはお友だちがなかなかできませんから、園にいっても楽しみがないのです。ですから、幼稚園にはいきたくないと言い出すようになります。 このままではお友だちを作る能力も発達しませんから、小学校に入っても孤独となり、登校拒否を起こす可能性が大きいでしょう。1日も早く幼稚園を楽しめる子どもに変えなければなりません。それには、過保護と溺愛の子育てを全面的に改める必要があります。 生活習慣で手を貸してしまってはいませんか まず、1日の生活の中の生活習慣について、子どもに手を貸してしまっている部分を洗い出してみます。衣類の着脱ではどうか、靴をはくときにはどうか、顔を洗ったり磨いたりするときにはどうか―など、1つひとつについて点検してみます。すると、衣類を着せるときにはお母さんが手伝っていたり、子どもが足を出すと靴をはかせてあげているお年寄りがいたりします。顔をお母さんがふいてあげている例は少なくありません。大便をしたあとのお尻をふいてあげていたお年寄りもいます。このようにして過保護の扱いの中で、お母さんにとって最もやりやすい部分から子どもに「まかせる」ことを始めて、それに成功したら「がんばろう」と励ましを与え、次のことに移ります。その結果、生活習慣の全部を自分の力でやることができるようになると、生活そのものに自信がついてきます。そして、園生活に対する不安が消え、お友だちと遊ぶことを楽しみにするようになります。意欲的にいきいきと遊び始めるでしょう。 一方、幼稚園に合わない子どもとは、どういう子どもでしょうか。それは、自発性が順調に発達していて、近所の子どもたちといきいきと遊び回っている子どもです。このような子どもは、先生から「これをしなさい」「あれをしてはいけません」などと命令されたり、一斉に先生から与えられたことをするのがつまらないのです。ですから幼稚園を嫌うようになってしまいます。過保護の子どもとちがって、はじめは通園していますが、だんだんつまらなくなってきますので、入園してからしばらくして園を嫌うようになります。 このような子どもの例に出会いますと、現在の園の中には、子どもの自発性の発達を抑圧している園のあることがわかります。もっと子どもの自発性の発達を大切に考えて、自由遊びを多くすることの必要性を痛感します。自発性は、子どもに「自由」が与えられなければ絶対に伸びません。 あなたのお子さんは家庭では腕白ということですが、その腕白が自発性の発達によるものか、それとも自分本位のわがままからなのか、お母さん自身で判断してみて下さい。 |
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