妹が生まれると急に情緒不安定になり、泣いたり痛がったりして甘えます
| 「3歳半の男の子ですが、2ヵ月前に妹が生まれてから急に変わってしまったのです。夜中に急に声を出して泣き出したり、いたずらをしたときにちょっとたしなめると、もう涙ぐんでしまってどうしようもありません。また突然頭が痛いとかお腹が痛いと言い出して私を心配させ、薬を飲ませると1分もたたないうちになおったと言うのです。何とかして注意を自分に引いて甘えるのですが、こういう子どもをどうしつけたらいいでしょうか。」 お母さん、ぼくをかわいがって! 兄らしさ・姉らしさの意識は何歳ごとから発達し始めるのでしょうか。それは、4歳前後ですし、それもほんの少しです。ですから、3歳半の子どもは、兄(姉)らしさの意識はほとんどもっていないと言ってよいでしょう。 ところが、わが国のお母さん・お父さんは、次の子どもが生まれますと、上の子どもに対して、兄(姉)らしさを要求してしまいます。つまり、「もうお兄ちゃんになったのでしょ」と言い聞かせることが多くなります。それが、子どもの情緒を不安定にしてしまいます。つまり、親たちに重荷を負わされて、喘ぐ状態に追い込んでしまうわけです。 欧米でも似たようなことが起こりやすいので、育児書の中で、4年おきに子供を生むように強調しているものもあるほどです。しかし、欧米では、お兄ちゃんとかお姉ちゃんと呼ぶならわしがありません。親がきょうだいを呼ぶときにも、きょうだい同士呼び合うときにも、ファーストネーム(名前)を呼び捨てにしますから、わが国のように兄、姉と妹といった序例をつける意識がないので、上の子に対する重荷は、日本ほど重くはないと言えましょう。 重荷を負わされた子どもは、情緒が不安定となり、おしっこやうんこをもらすようになったり、どもりになったり、すっかり赤ちゃん返りをして、哺乳瓶で飲みたがったり、はいはいになって移動したり、赤ちゃん言葉を使ったりします。いらいらしてものを投げたり、何かにつけて泣いたり、からだの不調を訴えたりします。つまり、お母さんや家族の気持が下の子に向いてしまっているので、自分はかわいがられていないのだと思っているのです。下の子が生まれたことで、子どもの心はショックを起こしているのです。 下の子どもが生まれて、そのほうにお母さんの手がかかって忙しくなりますと、お母さんはどうしても上の子に対して扱いやすいよい子になってほしいと望んでしまいます。ところがその逆に、いろいろと扱いにくい状態が現れますので、どうしてもいらいらして子どもを叱ったり非難したりすることが多くなっています。そうしたお母さんの態度が、上の子の情緒を不安定にしてしまい、狂乱状態になった子どももいます。つまり、子どもは、お母さん、ぼく(わたし)をかわいがって!―と叫んでいるのです。 お母さんとしては、上の子も同じようにかわいく思っているのに―と言いたくなるでしょうが、子どもはその年齢が低ければ低いほど、かわいく思っていることを行動で示してもらわなければ、わからないのです。下の子のほうにお母さんの手が取られてしまい、自分に対する扱いが少なくなってしまっているのですから、お母さんが自分をかわいがってくれなくなったものと、強い不安状態におちいっているのです。 このようなときに、お母さんとしてはどのように扱ったらよいでしょうか。「しつけ」などを考えてはいけません。私は、ふたごと思って上の子を扱いましょう―と提案していますが、お母さんとしてはなかなかその気持になれないものです。また、赤ちゃんが生まれる前に上の子をかわいがっていた以上に、子どもとの付き合いを多くしてください―とお願いしていますが、それもお母さんとしては受け入れられないことが多いでしょう。それは、忙しいからです。 赤ちゃんの世話はお父さんに このようなときに、お父さんの援助があると助かります。とくにお父さんには、赤ちゃんの世話をしてもらうわけです。おむつを替えてもらったり、お風呂に入れてもらうなど・・・・・・。少なくとも、お父さん自身の身の回りのことは自分でやってもらい、お母さんの手をわずらわさないようにしてもらいます。そして、お母さんは上の子の相手をするのです。下の子の扱いはこわいというお父さんであれば、上の子の相手を十分にしてもらいますと、子どもの情緒はかなり安定します。しかし、お母さんの相手のほうが子どもにとってはうれしいのです。 おばあちゃんがいれば、おばあちゃんに赤ちゃんの面倒をみてもらうようにして、お母さんは上の子の相手をよくして、不安定になっている情緒をいやしてあげるように努力します。いじいじしている子どもを叱るようなことは極力避けて下さい。 |
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