毎晩、夜泣きがひどいのです。昼間はいい子なのに、なぜ
| 「5歳の女の子です。昼間は大へんおとなしく、手もかかりませんし、気が向くと頼まないお手伝いもして、3年生の姉よりもよく気がついて感心するぐらいですが、夜になると困ったものなのです。寝る時、それから夜中に起きてはわからない理屈を言ってはギャアギャア長い時間泣きます。それがほとんど毎晩なのです。どこと言って悪い所はなく、元気はいいのですが、神経にでも欠陥があるのではないでしょうか。なぜ夜になると泣くのか、それがわかればその原因を取り除くようにしたいと思います。お教え下さいませ。」 おとなしい「よい子」は危険な子 「よい子」とはどのような子どもでしょうか。お母さんの中には、「おとなしい」「すなお」な子どもを「よい子」と思っている人がいますが、大きな誤りです。その点で、手がかからない子どもは危険な子どもなのです。それは、自発性の発達が抑圧されている子どもだからです。自発性が順調に発達している子どもは、はいはいなどからだの移動ができるようになると、さっそく始めるのが、「いたずら」です。次々と「いたずら」をするので、どうしても手がかかります。また、2歳から3歳にかけて「第1反抗期」に入りますので、「イヤ!」「自分でする!」などといって、お母さんの言うことを聞きません。その点でも、お母さんを悩まします。その代わり、いきいきと遊びますし、幼稚園などではお友だちと「けんか」をします。それは、自己主張をするからで、「けんか」のできる子どもが、自発性の発達している「よい子」です。 頼まないお手伝いなどをしてくれる子どもで、よく気がついたりしますと、お母さんは助かりますし、「よい子」と思ってしまいますが、意外にも、お母さんからほめられたいためにしているに過ぎないことがあります。ほめることをやめてみますと、全くお手伝いをしなくなってしまうので、その点がはっきりします。 いずれにしても、自発性が抑圧されている子どもの場合には、泣きたくても耐えてしまったり、怒りたくてもそれをこらえてしまったり、自己主張をしたくても黙っていたりして、それが胸の中につかえているのです。そして、夜中になってそれが噴き出してくるので、あれこれいって泣き騒ぐのです。 いたずら、反抗、けんかのできる本当の「よい子」に それを考えれば、まず、お母さんの考えている「よい子」を180度転換して、「いたずら」「反抗」「けんか」などのできるような子どもに変えないと、思春期になっていろいろな問題を起こします。登校拒否、ノイローゼ、心身症などを起こした子どもの幼児期が、みな、誤った「よい子」で親や教師にほめられていた子どもですし、「自殺」した子供の多くにも、同じような成育史が見られます。 本当の意味での「よい子」の姿が現れてくれば、夜泣きは必ずおさまります。それには、お母さん自身が「いたずら」をしてみたり、おどけたりふざけたりして、変なお母さんに変わることです。それがお母さんにできるかどうか。子どもがそれに乗って、「いたずら」を始めたり、おどけたりふざけるようになれば、しめたもの。 これは、日本人全般について言えることですし、欧米の人と対比しても言われていることですが、ユーモアのセンスが乏しいことと笑いが少ないことです。あなたの家庭にどのような笑いがあるでしょうか。冗談を言ったりして、家族のみなで笑うようなことがあるでしょうか。わが国ではくそまじめとも生まじめとも言われる人が尊重される傾向がありますが、それが、他人からほめられたい気持でカッコをつけていることが多いのです。ですから、まじめという心の状態は、もっと奥にある自分のありのままの気持を抑圧していることが多く、その意味ではウソつきとも言えましょう。正直とは、自分の気持をそのまま表現することですが、それをしながら、よい人間へと少しずつ近づいていくことですし、その際に「よい人間」とはどのような人間かについても考えてみることです。私は、「思いやり」のある人間をいつも頭に描いています。 「思いやり」のあるお母さんは、子どもの気持をよく汲むことができますから、「しつけ」を急いで子どもを叱るようなことをしません。そして、子どもがからだで甘えたい気持をもったときには、ひざの上に抱きますし、夜中にお母さんの布団の中に入ってきたときには「添い寝」をしてあげます。夜泣きのはげしい子どもに対しては、お母さんの布団の中に入れてあげるでしょうし、眠りにつくときには本を読んであげたり、歌を歌ってあげたりするでしょう。子どもはからだでお母さんに甘えることができますと、不安が解消されるのです。その点でも、「添い寝」が「しつけ」には悪いなどと考えてはいけません。さらに「よい子」の考え方を変えることから始めましょう。 |
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