おしっこが近くて、幼稚園に行く前に3回もトイレに
| 「6歳の長男ですが、1年ほど前から急に小水が近くなったのです。朝起きて幼稚園にいくまでのおよそ1時間半の間に3回もトイレに立ち、いっしょに外出してもひんぱんにお小水です。初めそれに気づいたときは注意しましたが、最近では本人をますます神経質にさせてはいけないと見て見ぬふりをしています。いろいろ原因を考えたのですが、小さいころから夜休む前とか外出前に几帳面にお小水をさせすぎたからではないかと思いますが、どう指導したらいいものでしょうか。なおこの子は夜中には絶対にお小水に起きません。」 失敗をおそれる気持が強い おそらく、尿の検査は終えていると思います。それは、膀胱炎などがあると、おしっこが近くなるからです。ただし、その場合には膀胱に炎症があるので、夜もおしっこが近くなります。目がさめているときだけおしっこが近いというのであれば、心理的な原因があるはずです。 では、どんな原因があるのでしょうか。その1つは、失敗をおそれる気持が強い場合です。幼稚園で失敗したら大へんだ、外出の途中で失敗したら困る―といった不安がありますと、そのことが気になって、トイレへ行く回数が多くなるのです。このような子どもは、これまでの生活の中で、トイレに失敗し、おもらしをしてしまったということで、お母さんや先生から叱られたり、非難されたりしたという経験があったり、お友だちにからかわれて泣いたなどのことがあるはずです。ただし、全般的にものごとを気にするほうではないでしょうか。そのような子どものお母さんに、子どもが失敗することを恐れる気持が強いのが特徴です。それがトイレの面でも現れて、外出前に「おしっこは?」と聞いたり、何べんもトイレに通わせたりすると、子どもには不安が強くなります。 このような子どもに対しては、まず、お母さんが子どもに干渉しないようになることが必要です。つまり、「口出し」をしないことです。とくに、子どもに対して失敗をさせないようにしようという思いが強いと、どうしても「口出し」が多くなってしまいます。おそらく、お母さん自身も、その親から同じように育てられたのではないでしょうか。そのために、よく気がつく人などとほめられてきたのではないでしょうか。 いずれにしても、子どもにとって「失敗」の経験は非常に大切です。たくさん「失敗」することによって、経験が豊かになるのです。ただし、「失敗」に対して絶対に責めたり叱ったりしないことです。責められたり叱られることの多かった子どもは、だんだんに劣等感が強くなり、自信のない子どもになってしまいます。小学生になってそれがはっきり現れてきて、どうして自信がない子どもなのでしょうか―といった質問をされることが少なくないのですが、そのような子どもは幼いころから、「失敗」を叱られることが多かったという成育史をもっています。 失敗を叱らず、挑戦する意欲を育てる 子どもが何かで失敗したときにはどうしたらよいでしょうか。そのときには、「この次にはがんばろうね」と言って、自分でした失敗を始末する方法を教えます。そして、同じような体験が再びできるように配慮します。そして、その体験に成功した―ということになりますと、非常に強い自信がつきます。つまり、以前に失敗したけれども、今度は成功したというときに、子どもは非常に強い自信をもつようになるものです。「失敗」の体験の少ない子どもは、いざ失敗したとなると、挫折感が強く、なかなか立ち直れないことがあります。中学生や高校生で登校拒否を起こすような子どもは、それまでの生活の中で干渉や過保護を受けてきており、挫折の経験が少ないので、ちょっとした挫折感に耐えられなくなって家に閉じこもってしまうのです。どうか思い切って、たくさん「失敗」の体験ができるように、口を出さない、手を貸さないで、生活を子どもに「まかせる」ことをして下さい。おしっこも、失敗したならばそのときのこと、黙って濡れた衣類を取り替えてあげればよいというおおらかな気持で子どもに接することが必要です。 以上から、お母さんがおおらかな気持の持ち主になるように努力することが必要です。それにはどうしたらよいでしょうか。まず、「しつけ」にこだわらないお母さんになることです。わが国の「しつけ」には封建時代のものがたくさんありますし、外見を整えるものが多過ぎます。そして、自発性の発達を抑圧してしまっています。早くから「しつけ」をきちっとされた子どもほど、いろいろなことにこだわりをもつようになってしまいます。いっぺん、「しつけ」を全部やめてみて下さい。そして、おしっこの問題が解決し、のびのびとお友だちと遊び、その中に「いたずら」や「けんか」が含まれるようになったら、自発性が発達したわけですから、少しずつ「しつけ」のし直しを始めましょう。お母さんが受けた「しつけ」にも再検討が必要です。 |
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