どうしてもお寝小がなおりません。入学前に何とかしてやりたいのです

「6歳の男の子ですが、夜尿症で大へん困っております。昼のおむつは2歳6ヵ月でとれたのですが、夜のおむつが一向にとれず、大きくなるにつれて量がだんだん多くなり、おむつを何枚も重ねてあてても布団まで透る始末です。4歳1ヵ月のとき小児科へ入院し、新しい薬を飲ませてみたり、暗示療法で膀胱の上にビタミン注射をしたり、いろいろとやってみましたが効果がありませんでした。泌尿科の先生が夜中に起こさないようにとおっしゃいますので、そのままぬれた中で寝かせています。入学前になおしてやりたいのです。」

絶対に子どもを責めてはいけません

お寝小の原因については、今日もなおはっきりしていない部分がありますが、多分心理的な面があります。それは、心に重荷を背負っていることを意味します。

子どもはもともとお寝小です。それが、2歳から3歳の間に、夜中におしっこに行きたくなりますと、目をさまして「おしっこ」と言うようになり、お母さんがトイレへ連れて行きますと、おもらしをしなくてすむようになります。そして、4、5歳になりますと、ひとりで起きてトイレにいくようになり、お母さんにとっては全く世話の焼けない状態になります。

しかし、夜半に目をさましてお母さんに「おしっこ」と告げる年齢には、子どもによって個人差があります。3歳になると7割の子どもが「おしっこ」というようになりますので、3歳以後の夜尿を病的な状態として「夜尿症」と言おうという説がありますが、これは全くこっけいです。統計学を悪用した物と言えます。6歳から7歳にかけて9割以上の子どもが1人で夜中に起きてトイレにいくようになるので、それまでは発達の個人差として正常範囲で考えようという説もありますし、4、5年生ごろになるとほとんどの子どもに夜尿がなくなるので、その年齢までを正常範囲と考えてもよいのではないかと考えている研究者もいます。

しかし、4、5歳であっても、お母さんがスキンシップを多くし、添い寝をしてあげたところ、ピタリとなおってしまったという子どももいて、そのような子どもは情緒不安定があったために夜尿があったと言えるわけです。

夜尿は、子どもがわざとしているのではないことは、お母さんも認めると思います。無意識の中でしてしまって、明け方に目がさめるまで気がつかない―という子どもがいますし、夜尿をしてしまったあとすぐに気づく子どももいます。いずれにせよ、子ども自身はやりたくない状態が、起きてしまうのですから、絶対に子どもを責めてはいけません。子どもを責めれば、ますます子どもの情緒は不安定になるのです。

子どもを責めているつもりはなくても、結果として責めていることになっている例が少なくありません。その1つに、夕方から水の制限をすることです。おつゆのお代わりをしようとしますと、「1杯にしておきなさい」と言うのは、「お寝小するといけないでしょ」と言っているのと同じで、子どもを責めていることになります。しかも、のどの渇いているときなどに、水分の制限をすることは、子どものからだに苦痛を与えていることになります。また、水分の制限をしてみて夜尿がなくなったとしても、再び水分を与えれば夜尿が生ずるというのでは、単にからだを干したのと同じ意味になります。また、寝る前に「お寝小をしませんように」とお祈りをさせているお母さんがいますが、子どもの心に夜尿の意識を固着させ、子どもをかえって緊張した状態に追い込んでいるわけで、かわいそうな仕打ちと言うべきでしょう。

「お寝小をしたら10円あげる」と約束したらピタリとなおった!

むしろ、お母さんが子どものお寝小から意識をはずしてしまうことが必要です。つまり、お寝小をしていてもやがてはなおるから―を腹を決めることです。7人の子どもをもっているお母さんは、その中の1人がお寝小で、あれこれの治療法を用いていたのですがなおらず、ついに「お寝小をしたら10円あげる」と言ったところ、子どものほうから「20円にしてほしい」という申し出があったのでその約束をしたところ、その晩からお寝小がピタリととまってしまったそうです。子どもからお寝小にまつわる罪の意識を取り除いたことが、お寝小をなおしたと言えましょう。

夜中に起こしてトイレに連れて行くのも、意味がないばかりか、子どもの心をお寝小に結びつけてしまうので、好ましくないと言われています。つまり、これまでお寝小をなおすためと称して言われてきた方法は、かえって好ましくないというのが、最近の定説になってきているのです。

お寝小には寝巻きや布団などの被害が起きるので、お母さんとしては子どもを叱ったりして早くなおしたいと思うでしょうが、心を入れ替えて、どうぞゆっくりとお寝称をしていて下さい―と腹を決めることが非常に重要な意味をもっています。


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