　遊びながら食べるので、食事時間が長くかかって困ります

「４歳の男の子ですが、食事の時間が長くかかるので本当に困っています。やっとお膳について食べ始めたかと思うと、自動車の玩具をもってきて遊び始めたり、絵本を見たり、遊びにばかり気をとられているのです。「もう片づけますよ」と言うと食べ始めるのですが、またすぐ遊びにかかります。あまり片づかないので下げてしまうとこんどは泣き出します。もうすぐ幼稚園ですので、とても心配です。」

外で遊ばせ、間食は時間を決めて少しだけ

日中の運動がさかんで、間食は時間を決めて少量を与えられている子どもは、３度の食事の前になると、強い空腹感を感じますので、夢中になって食事をします。ですから、食事の時間が長くてお母さんを困らせるようなことはありません。もちろん、好き嫌いも少なく、喜んで食事をします。食事に対して熱意をもって食べる子どもにするためには、空腹感を味わわせることが何よりも必要です。

まず、日中の運動をどのようにさせているかについて、考えてみて下さい。４歳ともなれば、戸外で遊ぶことが好きで、お友だちがいれば、飛んだりはねたりして夢中になって遊ぶものです。ところが、都会でも田舎でも、家の中でちんまりと遊んでいる子どもが何と多いことでしょう。４時間も５時間もテレビを見ている子どもさえいます。このような子どもは、運動機能の発達がおくれてしまいますし、意欲のない子どもになり、食欲も乏しいものです。昔のように近所に友達がいれば、朝からいっしょに遊びますし、間食の機会もありませんから、食事時間の前になると、ぐっとお腹が空きます。ところが、友達がいないために、戸外での遊びの楽しみを知らない子どもがふえているのです。その意味からも、私が３年保育を進めていますが、まだそうした園の数は少ないのです。ですから、お母さんの努力によって、戸外に連れ出すよりほかはありません。ところが、お母さんの中には、自分自身が戸外に出ることを面倒に思い、結局は家の中で子どもといっしょにいるという人が多くなっています。子どもを連れ出すとしても、せいぜい買い物のときぐらいで、結局は、子どもの運動量は非常に少ないのです。食欲の少ない子どもには、極力戸外での生活を多くしてほしいのです。

次に、間食はどのように与えているでしょうか。家の中にいると、お菓子のある場所を知っている子どもは、口が淋しくなるとお菓子を取り出しては勝手に食べていることがあります。とくに田舎では、日中の子育てはおばあちゃんになっていることが多いので、戸外へ連れ出すことが非常に少なく、お菓子を食べさせていれば静かにしているので、しょっ中何らかのお菓子やジュースなどを与えています。その結果、非常に虫歯が多く、食欲のない子どもがふえているのです。ですから、おばあちゃんを指導して、時間を決めてお菓子を与えること、その量も少なくすることをすすめていますが、なかなか実行されません。それは、来客があるたびに茶菓子で応対しなければならないからです。欧米では、ティータイムにきたお客さんには茶菓子のもてなしをしますが、その時間以外にきたお客さんには、茶菓子を出しませんから、子どもにもしめしがつくわけです。その点で、来客のあるたびに茶菓子を出しているわが国では、子どもを巻き添えにしてしまいますし、子どものほうでもお菓子をねだるでしょう。それが３度の食事に熱意を示さない大きな原因になっていることがあります。何とかして、欧米のように、来客にもティータイムだけに茶菓子をもてなす習慣を作りたいのですが、すぐには実現しないでしょう。子どもには時間を決めて菓子類を与えるように提言してみても、とてもそれを守ることは困難です。ではどうしたらよいか。今のところ、私にも名案はありません。

子どもが泣いても、食事を片づけてしまいましょう

なお、食事時間の長い子供については、前項（「食が細く、からだが小さいのです。食欲をつけ、体格をよくしたいのですが･･････。」）で述べたように、食事を強制しているお母さんの態度を問題にしなければなりません。食事を強制されればされるほど、子どもは遊びながら食べるようになってしまいます。そのときには、一定の時間がきたら、食事を片づけてしまいましょう。子どもが泣き出しても、それを実行することです。子どもに泣かれると、つい負けてしまうのは、溺愛になりますから、だんだんにわがままになってしまいます。泣かれても、お母さんの方針通りに片付けることを実行していますと、３週間ぐらいすると、子どもは一定の時間内に食べるようになります。また、子どもの食器に盛りつけるご飯やおかずは、できるだけ少なくすることが大切で、それを食べ終えたら、食事の終わりとするとよいでしょう。日中の運動がさかんであれば、以上の方法は非常に有効で、お母さんの態度がきちっとしていることを、子どもは感じ取り、きちっと食べるようになります。