　４歳なのにお金を使いたがります。お小遣いを与えてもいいものでしょうか

「４歳なる男の子で、この４月から幼稚園に通っておりますが、帰ってくると、毎日のようにお金をねだります。となりに小学校１年のお友達がいて、その子が毎日お金を使っていますので、そのまねをしているのではないかと思います。今まではいる品物があれば、私が買っておいて品物で与えていたのですが、今では自分でお金を払って買うのだと申します。４歳ではまだお金を与えるのは早いと思うのですが、いかがなものでしょうか。」

少なめの金額を毎日渡してあげては

子どもがお金を使うことに興味をもつのは、周囲の状況に左右されます。近所にお金を使っているお友達がいるかどうかが大きく影響しますし、農村などではお店が近くにあるかどうかも関係しています。

近所にいっしょに遊んでいるお友だちがいて、その子どもが毎日お金を使って買い食いをしたり、玩具を買ったりしているのを見れば、お金を使って自分のほしいものを買うことに興味をもつようになるのは、むしろ当然のことでしょう。

４歳でお小遣いを与えることが早いかどうか。たしかに、まだお金の計算ができないことを考えれば、少し早いということになりますが、お小遣いを使うことで計算の能力を発達させる子どももいます。おそらく、すでにお金を使っている子どもから、その点についていろいろと教えてもらうでしょうし、だんだん損をしないように考えるようになるでしょう。

また、お友だちが買い食いをしているのを見て、食べたくなるでしょう。黙って見ている子どももいますが、それもかわいそうに思えます。また、「ちょうだい！」と言ってねだることもあり、お友だちからいつもおごってもらうようになり、その意味で借りが多くなることにも問題があります。

このように考えてみますと、お小遣いを与えてみてはどうでしょうか。まず、１日にいくら―と決めて、毎日与えるとよいでしょう。金額をいくらにしたらよいかが問題になりますが、お友達がいくらもらっているかを調べてみてはどうでしょう。家庭によってはお金を限度なく与えていたり、うるさく言い寄られてそのたびに与えていて、１ヵ月の金額がかなり高額になっている例もあります。実は、お金にだらしない家庭の子どもと遊ばせるのは好ましくないのですが、お小遣いを与えてみてどのような関係になるかをしばらく見ていることにしましょう。金額は１０円か２０円はどうでしょう。お金を与えてみますと、お母さんから見るとつまらないものを買っていることが気になり出します。不潔になりやすい飲食物を買ったり、すぐにこわれてしまうような玩具を買ったりするからです。その際にも、あれこれと文句をつけずに、買うものがどのように変わっていくか、しばらく様子を見ていましょう。

お金や物質への欲望には必ず制限を

実は、金銭教育はこれから長期間にわたって行なわれますから、一本調子に考えるわけにはいきません。

初めは、毎日お金を渡しますが、何日かのお小遣いをためて、よい物を買うようなことを考え始めたならば、週にいくらと決めて与えるようにしますし、おそらく小学校に入ってからになると思いますが、月決めになると思います。それは、１ヵ月間にどのようなものを買うか、計画を立て、ほかに買いたいものがあってもがまんするという力をつけるためです。つまり、一定額のお小遣いの中でやりくりする力を育てる意味をもっています。ですから、一定額以上のお金をほしがっても、がまんさせること、決してずるずるとお金を与えないようにしなければなりません。

そのうちに、貯金通帳にためることに興味をもつようにもなるでしょう。貯金通帳を出してはいくらたまったかを計算して楽しむ時期がきます。そうなると、一時的に、非常にけちん坊になることがあります。お母さんといっしょにお使いにいったときに、ほしいものをねだって、自分のお小遣いを使わないような工夫をするわけです。そのときには、あとできちっとお小遣いから支払ってもらうことを原則にすべきですが、ときにはだまされてみるのも面白いでしょう。

お年玉は、できるだけ貯金通帳に入れるようにします。そして、小学校高学年または中学生になってから、金額のはる物質的な欲望は自分のお金から支払ってもらうように仕向けていきます。あるいは、子どものお金に親が足してあげて目的が達せられるようにしてあげることもあります。

昔から、お金には魔性があるといわれているように、ずるずるとほしい物を買い与えていると、お金に対して放縦な子どもになり、とくに派手を好む思春期以後になって、いろいろな問題を起こします。お金や物質への欲望に対しては、ケチなお母さん・お父さんのほうが好ましく、子どもに不自由をさせたくないという考え方は、危険思想です。