添い寝の習慣をやめたいのですが、いつごろ、どんなふうにしたらいいでしょう

「5歳と3歳の男の子の母親です。上の子は2歳まで1人で寝ておりましたが、下の子ができてから、いつの間にやら主人と上の子がいっしょに、私と下の子がいっしょに寝るようになってしまいました。でも、もうそろそろ子どもだけで寝かせるようにしたいのです。どうしたらいいでしょうか。また私たちと部屋を別にするのは少しかわいそうな気がします。いつごろになったら子どもの寝室を別にしたらいいか、お教え下さい。」

添い寝を無理にやめさせる必要はありません

「添い寝」の研究をしてみますと、お母さんが無理にやめさせようとしないでも、子ども自身で「添い寝」を求めなくなることがわかってきました。それには、2つの条件があります。

その1つは、十分に「添い寝」をしてあげるということです。お母さんにも「添い寝」をしてあげることを楽しむ気持があり、子どももそれを十分に楽しみ、母子間の情緒的な結びつきができていますと、子どもの情緒が安定していますから、子どもはだんだんにからだで甘えることがしなくなります。とくに3歳から4歳にかけて、お友だちと楽しく遊ぶようになりますと、急にからだでも甘えが減ってきます。しかし、小学校2、3年生になるまでは、ちょっとひざの上に乗ってきたりしますし、思春期になるまでは、お母さんのからだに自分のからだを寄せてくるでしょう。そのような時は、学校で先生に叱られたとか、友だちとけんかをしたとか、家庭外での出来事で心に不安が残っているのです。そのように、お母さんに寄り添っているうちに、家庭外で起きた出来事による情緒的な不安は解消されるのです。抱きかかえるようにしてあげましょう。

スキンシップが足りないと情緒不安定に

そのような子どもは3歳までは、お母さんにからだで甘えたときに、それを十分に受け入れられています。つまり、お母さんとして、3歳になるまでは十分にからだでも甘えを受け入れてあげる必要があるのです。もし、3歳になるまでに、からだでの甘えを十分に受け入れてもらえなかったり、1人寝をさせられた子どもの場合には、情緒の不安定な状態がかなり強く残っています。そして、それが心のしこりとなっているのです。ですから、いつまでもしつこくからだでの甘えを求めます。実は、中学生になっても高校生になっても、問題行動のある子どもの中にお母さんに対してからだでも甘えを求める子どもがいて、その中にはお母さんに「添い寝」を求める子どもさえいるのです。そのような子どもの過去の成育史をくわしく聞いてみますと、幼いころのスキンシップが非常に少なかったことがはっきりします。そして、中学生であっても高校生であっても、何らかの形でスキンシップを実現することによって、情緒が安定しますと、問題行動が消失していきます。「添い寝」をおすすめしていますが、中学生や高校生に対して「添い寝」をしてあげる気持にならないお母さんが多いので、ひざ枕で耳掃除をしてあげたり、肩をもんだり、マッサージをしてあげたりすることを提案しています。ある登校拒否を起こした大学生は、腰を打ったあと、一晩中お母さんからマッサージをしてもらいました。「もういい」と言わなかったので、このときとばかりマッサージをしてあげたら、明け方になっていた―とそのお母さんは話していました。小さいころ、お母さんが忙しかったので、ほとんどスキンシップをしてあげなかったのでした。子どもの側からスキンシップを求めなかったので、お母さんは独立心のあるしっかりした子どもだと思って、誇りにさえ思っていたということです。

お母さんとお父さんとを比較して、子どもがどちらと「添い寝」を求めるかと言いますと、特別の例を除いては、お母さんです。お母さんは子どもとの接触時間が長く、あれこれと世話をしてもらっていますので、子どもはお母さんとの間に最も強い結びつきを求めています。ですから、お母さんとの間にスキンシップをきちっと成立させておく必要があります。お母さんが下の子とばかり「添い寝」をしていますと、上の子の情緒には不安が続きますし、「下の子はいいなあ」とうらやんでいますし、ねたみ心から下の子をいじめるようになった例が少なくありません。とくに幼いころのスキンシップが少なかった例では、情緒的な不安定な状態をなおしてあげる意味でも、お母さんは、上の子に対する「添い寝」をしてあげる必要があります。

そのきっかけを作る意味で、下の子どもをお父さんに預けてでも、1晩泊まりで旅行することをおすすめしています。そのようなときの子どもの安定しきった顔を見たならば、お母さんは上の子どもを差別していたことに気がつくでしょう。「やっぱり、お母さんは、ぼくをかわいがってくれているのだ」と思い、安心するからです。

以上から、お母さんが「添い寝」をやめさせようとすることの誤りをわかっていただけたと思います。


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