扁平足なのですが、知能に影響しますか。また矯正する方法はあるのでしょうか

「小学校1年生の女の子ですが、偏平足、俗に言うべた足で、運動能力が標準より少しおくれております。知能の程度は標準ですが、理数の学科が少し劣っているようです。偏平足は知能の発育に関係があるものでしょうか。祖母が偏平足で、私たち両親は偏平足ではありませんが、2人とも運動がにがてでした。なお、この子は身長は順調に伸びており、足の長さも普通です。偏平足は矯正したほうがいいものでしょうか。もしそうなら、どのような方法で矯正したらよろしいでしょうか。お教えくださいませ。」

偏平足と知能とは関係ありません

偏平足と学業または知能との関係について心配されているようですが、その点について何かの本でよんだとか、誰かに聞いたとかしたのでしょうか。私は周囲にある本を調べてみましたが、全く見当たりませんでした。

心配なのは、お母さん自身が子どもの知能にあまりにもこだわっているのではないかということです。知能テストについてはすでに述べたように、信頼できるようなものがないし、知能それ自体についても、まだよくわかっていないのです(82ページ参照)。ですから、知能が普通だとか標準だとか言うことがおかしいわけです。しかも、小学校1年生ですから、将来どの方面で伸びるかは、全く判断できません。国語の成績がよいからといって文科系がいいとか、算数の成績がよいから理科系へ進んだほうがいいとか、今から問題にしているならば、子どもに重荷を負わせてしまうことになるでしょう。子どもはお母さんから文科系がよい―などと言われますと、そのように思い込んでしまうことがあり、中学生や高校生になってそのことで悩むようになることがあるからです。

しばらくの間、知能とか学業成績のことは、おかあさんの頭から捨てることはできないでしょうか。さもないと、子どもがのびのびしませんし、意欲も乏しくなってしまいます。低学年の間は、お友だちといっしょに戸外で夢中になって遊ぶ子どもであってほしいのです。それによって友達作りの能力も育ちますし、運動能力も伸びます。もし、「勉強、勉強」とお母さんから要求されて、それに従ってしまいますと、友だち作りの能力が育たず、思春期以後になって孤独となり、いろいろな問題を起こす危険性があります。思春期以後は、お友だちとつき合うなかで、いろいろな悩みごとを解決することができるからです。また、運動が好きな子どもにしておくことは、人生を楽しむための大切な要素を子どもに与えることになるのです。

さて、偏平足についてですが、2〜3歳まではどの子どもも偏平足で、その後になってだんだんと足踏まずができてきます。それができない状態を偏平足と言い、昔から長歩きができないとか重い物をもてない―と言って嫌われてきましたが、これは軍隊生活と関係して言われたものであって、ふつうの生活の場合には偏平足であっても一向にさしつかえないと考えられています。

なぜ偏平足になるのでしょうか。以前には遺伝であるとか先天的であるとか言われてきましたが、現在は、乳幼児のときの靭帯の弱さがそのまま残っていると考えられています。靭帯というのは、骨と骨をつないだり、筋肉を引っ張ったりする役目をもっている組織です。

やわらかい土の上を裸足で歩く

このように靭帯が弱いために生じている偏平足は、やわらかい土を踏む訓練、つまり、裸足で戸外を歩かせるわけですが、その際に、やわらかい土のある場所を選ぶことが必要です。

その点で、子どもが小さいころに、戸外を裸足で歩かせるようなことが少なかったのではないでしょうか。その点をもっと詳しく聞きたければ、整形外科医のところへ行くとよいでしょう。

医者は、レントゲン写真をとってくれるかも知れません。それは、偏平足の中に、足の骨の配列がふつうの人と違っている特別な偏平足があるからです。骨に異常があれば、それを矯正するための靴を作ってはかせるようにと言われるでしょう。しかし、そうした偏平足は少ないので、レントゲンでは異常なしと言われ、おそらく裸足で歩く方法について話してくれるでしょう。あるいは、このくらいの偏平足は心配ないから、そのままにしておいてよい―と言われるかも知れません。しかし、お母さんとしては、戸外でお友だちとからだを張って遊ぶ子どもにすることは実行してほしいと願っています。その際に、裸足を奨励することも忘れないように。

偏平足のことでしみじみ思うことは、戦前には大きな問題にされた偏平足も、今ではあまり問題にされなくなり、その矯正がどうでもよいと考えられるようになったことです。お母さんが偏平足にこだわっているのは、お年寄りの影響ではないでしょうか。偏平足を気にしないで下さい。


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