最近、目に見えて太り始めました。肥満児にしないためには、どうしたら

「満7歳の長男が最近目に見えて太り始め、現在身長1メートル22、体重29キロです。これ以上肥えては運動がしにくくなりはしないかと日夜心配しております。幼稚園のころは普通でしたのに、小学校にあがりましてからすごい食欲で、夕方から寝るまで絶え間なく口を動かしております。子どもに食べてはいけないと言うのもかわいそうですので、食事の前などに果物を与えたりして腹ごしらえをしておきますが、それでもよく食べるのです。やはり食を控えさせる以外に手はないものでしょうか。なお運動は学校から帰りますと、自転車、かけっこなどしており、日曜日はよく山登りをしております。」

食事・間食は規則正しく時間を決めて

肥満には、体質があります。やせている体質のものが、何とか太ろうとしてたくさんに食べ物をとってみても太らないのに、肥満体質のものは、少しよけいに食べただけで太ってしまいます。

しかし、食べる量と運動量との間にバランスがとれていれば、肥満は生じません。そこで、まず食べる量について測定してみて、それが何カロリーになるかを計算してみてはどうでしょうか。学校でも習ったと思いますが、食品分析表を用いて算出してみますと、大体の見当がついてきます。子どもが口に入れる食べ物すべてが対象になりますから、間食の多い子どもですと、計算がしにくくなります。そこで、きちっと間食の時間を決めて与えることにしましょう。間食の時間を決めずに、だらだらと食べさせているのは、しつけにとっても大きな問題があります。つまり、がまんするという力が育ちませんから、だんだんにわがままな子どもになっていくでしょう。

ついでに、時間を決めずに間食を与えているのは、欧米ではあまり見られない現象です。子どものことを考えている家庭では、ティータイム以外には子どもに飲食物を与えません。実は、大人たちもきちっとティータイムを守っていて、時間以外にきたお客さんには何も出さない習慣が確立しています。その展で、わが国では何人かが寄れば飲み食いを始めますので、子どもに対してしめしがつきません。何とかティータイム以外には飲み食いをしないという習慣を作って、子どもに対するよい手本になりたいと念願しています。

なお、もう1つの点についても一応考えてみましょう。多食をする子どもには、母子間の情緒的な関係が十分でないという説があることです。つまり、心に不満があるので、その代償としてむやみに食べたがるわけです。母子間の情緒的な関係がうまくいっているかどうかについては、なかなかはっきりさせることができないのですが、下に子どもが生まれてから、「お兄ちゃんになったのでしょ」と言い聞かせたり、子どもがからだで甘えてきたとき、例えばひざに乗ろうとしたり、おんぶしてほしいと言ってきたときに、それらを拒否したようなことはないでしょうか。さらに、生後7、8ヵ月ごろから「人見知り」がはげしくなるものですが、「人見知り」がなかったということはないでしょうか。「人見知り」は、母子間の情緒的な結びつきがしっかりできたことの表れであり、「人見知り」がないというのは、結びつきが十分でないと言えるわけです。もし過去に、母子間の情緒的な結びつきが十分にできていなかったことに気づいたならば、小学生であっても、体重の重い子どもであっても、ひざに乗せたり、添い寝をしたりして、スキンシップを十分にしてあげてください。母子間の情緒的な結びつきが強くなり、子どもの情緒が安定するとともに、子どもの多食がいつの間にか消えていくものです。そうなると、あとは運動量の問題だけを考えればよいことになります。

運動としては、毎日一定の量の運動を続けることが必要になります。その展でマラソンは非常によいと思いますし、縄跳びなどもよく、子ども自身で記録を少しずつあげていくように指導してみましょう。それが、運動を続けるためのよい方法であるからです。

よく運動する子どもなら、太っていても心配ありません

体重が多くても、運動機能の発達がよく、積極的にスポーツをする子どもであれば、全く心配ありません。肥満になると、つい運動がおっくうになり、だんだんい運動機能が低下することがあります。それが日常の行動にも及び、無精になることさえあります。その結果運動量が少なくなるのに、食べる量は同じであれば、当然、肥満は進んでいきますし、それとともに運動量が少なくなる―といった悪循環におちいってしまいます。それがこわいのです。

結論的に言うならば、食事については間食を含めて規則正しくする努力が必要になりますが、その前提として過去において母子間の情緒的な結びつきが足りなかったということがあれば、その結びつきを多くすれば、多食はおさまるでしょう。そうなれば、毎日続けることのできる運動を中心に考えて、機能のよい子どもにしておきましょう。


Copyright (C) 2001 Sunshine Forum Japan. All Rights Reserved