小児ぜん息で苦しんでいます。何かよい治療法はないでしょうか
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「満4歳になる女の子です。生まれたときから小児ぜん息で苦しんでおり、ずっと病院に通いずめです。あちこちの先生におたずねしてみましても、小児ぜん息の予防法はないそうですが、何とか発作を起こさないようにできないものでしょうか。私のほうが、また咳き込みはしないかといつもビクビクしております。小児ぜん息をなおすよい方法がありましたらどうぞ教えて下さい。」 朝晩の乾布まさつをおすすめします 私は、ある幼稚園の園医をしてきて30年近くになりますが、入園してきたときにすでにぜん息の発作をもっている子どもに対しては、乾布まさつをすすめてきました。 乾布まさつとは、朝と晩、着替えをするときに裸になるわけですが、そのときに乾いた手拭いで、子どものからだをこすってあげることです。どのような方法でこすってあげればよいか―と質問されますが、原則的に言えば、末梢から心臓部に向けてこすればよいのですが、それにこだわる必要はありません。皮膚がピンク色になるようにすればよいでしょう。どのくらいの時間すればよいか―という質問が出ますが、原則的に言えば、始めは2、3分、そして、だんだんに長くしていけばよいでしょうとお答えはしていますが、あまり時間にこだわる必要はなく、忙しいときには10秒でも20秒でもよく、時間にゆとりのあるときには長くやってあげてよいのです。 大切なことは、毎日続けるということです。欠かさないことです。かぜなどで熱がでたときには一時中止しますが、病気がなおったらすぐに再開します。子どものほうでも、乾布まさつが気に入って、お母さんが忘れたりすると、「お母さん、やって」と催促するようになった例もあります。 乾布まさつの効果 乾布まさつがどのようにぜん息に効果があるのでしょうか―と質問されることがありますが、それをきちっと説明できるだけの証明はされていません。私の園医としての経験から、この乾布まさつを実行した子どもの場合には、卒園するまでにはほとんどがぜん息の発作を起こさなくなっています。かぜを引いたときに多少呼吸が荒くなる子どももいますが発作は起こしていません。実は、私の家系にもぜん息があり、孫の1人が1歳のときに大きな発作を2回も起こしました。ところが、乾布まさつを続けていたところ、2歳のときに1回の発作があったきりで、その後は全く発作が起きなくなりました。3歳と4歳では、かぜなどを引きますと、呼吸が荒くなる傾向が見られましたが、5歳を過ぎるとそれも影をひそめてしまいました。今は小学校2年生ですが、ほとんど学校を休みません。しかも、いつの間にか乾布まさつも忘れてしまったようです。私の考えでは、ぜん息の発作のときの苦しみは大へんなものですので、一度発作を経験しますと、お母さんはどうしても発作を予防したいという気持から過保護になりますし、それが子どもにも影響しますし、かぜなどでちょっと呼吸が荒くなってきますと、子ども自身の不安が強くなってきます。そうしたぜん息に対する消極的な心構えから、積極的に病気に挑戦する心構えに変えることが、親子の不安を少なくするとともに、自律神経系によい影響を与えるのでないかと考えているのです。 いずれにせよ、ぜん息に対する乾布まさつの効果は、非常に高く評価できると思います。心の持ち方と病気との関係については、もっと研究がたくさんに行なわれる必要があると思いますが、心のほうが非常に複雑なので、なかなかよい研究計画が立たないのです。しかし、経験は大切ですから、理由がはっきりとわからなくても、私は乾布まさつをおすすめしているのです。 なお、医学的に言えば、ぜん息は抗原抗体反応であり、アレルギーの病気です。そこで、減感作療法が行われていますが、本当に効果があったという例は少ないようで、最近は疑問視する意見も現れてきています。私の幼稚園での例では、減感作療法をやってもあまり効果がなかったという例が多いのです。 なお、乾布まさつ療法は、ぜん息に限らず、発熱することが多かったり、下痢をくり返すという子どもに対しても効果を上げていますから、ぜん息に対する特別な治療法ではないわけです。おそらく、病気をくり返しているうちに、お母さんも育児に自信を失い始め、不安の日々を送ることになりますし、子どももその不安を感じ取ってわずかな症状であっても、それが大きくなって表れてくるのではないかと思っています。 実は、私は幼児期には虚弱児でした。ところが、冷水まさつをして丈夫になりました。この40年間、病気で寝込んだことのないのは、この冷水まさつのおかげだと思い込んでいます。人間には、こうした思い込みも大切です。 |
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