体は大きいのに、体育がダメ。体育に自信をもたせるにはどうしたら

「小学校2年生の長女です。体重28キロ、クラスでも1番体格がよく、背も高いのですが、体育がどうしても不得手なのです。日曜日など親がついて、いっしょに鉄棒とか、うんてい、はんとう棒など、けいこさせてみるのですが、やっぱり上達しません。何とかして体育に自信をもたせたいのですが、どのように指導すればいいでしょうか。体重が重いので体が動かないということもあるでしょうか。」

外で思いきり遊ばせたでしょうか

体育がにがて―という子どもについてその成育史と調べてみますと、運動機能の発達の始まるころ、つまり、はいはいや伝い歩きやあんよの始まるころに、それらを十分に楽しむような状況を作ったかどうかがかかわっています。部屋が狭かったり、「危い、危い」といって抱き上げることが多かったりしますと、積極的にからだを動かす楽しさを味わうことができません。とくに、あんよがじょうずになってきますと、戸外に出たがります。戸外で自分の足を使って歩き回ったり走ったりする喜びを味わいたいのです。この時期に、お母さんが戸外に連れ出すことを面倒がったり、そのほかいろいろな事情によって戸外に出すことが少なかった子どもは、からだを全面的に動かして遊ぶ楽しさを経験しないことになります。

1歳半から2歳半にかけては、高い所によじ登ったり、そこから飛んだり、トランポリンの代わりにソファーを使って飛んだり、そこから飛び降りたりする運動を楽しみます。ところが、高いところは危ないからダメ、ソファーはいたむからダメ、飛び降りると階下の人から文句がくる―など、禁止することが多いと、静かな遊びのほうに興味が移ってしまい、運動機能を伸ばすチャンスを与えないで過ごしてしまうことになります。そのようなときでも、日曜日などにお父さんが公園や児童遊園に連れていって思う存分にからだを動かす機会を与えてくれるといいのですが、休日は疲れて戸外に出なかったり、自分の好きなゴルフに1人でいってしまったり、あるいは運動が好きでなかったりして、子どもには運動するチャンスが与えられていないのです。

多くの例で、お父さんが運動に興味がなかったり、お母さんも同じようで、運動そのものに子どもが興味をもつことがないままに成長し、小学校の体育の問題が急に浮かび上がってくる―といった具合です。幼稚園や保育園で戸外での遊びを奨励したり、体育遊びをさかんにしてくれるといいのですが、保育園の中で遊ぶことが多く、字や数を教えるなどの誤った保育が行なわれると、運動機能は非常におくれてしまいます。

私は、終戦後まもなく野外保育の経験をしました。建物を建てることができなかったので、荒れ果てた公園を使って保育をしていましたが、4、5歳の幼児が、実によく木登りをしましたし、それが非常にじょうずで、枝から枝へと渡る子どももいました。三角ベースをしましたが、バットは棒きれ。しかし、なかなかじょうずでした。池に入って、ザリガニをたくさん取ったものです。そのときの情景が今でも私の頭から離れません。子どもたちの運動能力はすばらしいものでした。室内で遊ぶ玩具がなかったということもありますが、自然という素材を使ってからだを張って遊ぶ機会を子供に与えさえすれば、子どもの運動能力は実によく伸びるということです。

「やらせる」よりも、子どもが「やってみたい」ことを

ところで、運動のにがてな子どもをどのように指導したらよいか―ということで、まずお母さんやお父さんが子どもの興味をどのように引き出すかということを考えてみなければなりません。学校の体育の中の鉄棒などをやらせてみても、子どもが興味をもつはずがありません。何なスポーツをやるとしたら何をやってみたいのか、それを聞くことから始める必要があります。あるいはカッコのよいバレーなどと言い出すかもしれませんが、そうであればバレーの練習所に連れて行くことです。プールがいいと言えば、それもいいでしょう。学校の体育でやっていること以外のものを選ぶことは、にがてな体育という印象を取り除くためには絶対に必要です。そして、からだを動かすことが楽しくなってきたらしめたもの。だんだんにじょうずになろうと、挑戦の意欲を燃やし始めます。その意欲が、にがてな体育へも挑戦してみようとする状態を作り出します。

それと同時に、お父さんの協力を得て、休日にはピクニックにいったり、山登りを一家で楽しむことをくり返したいものです。その際に使う器具類は、スポーツ用品店であれこれと見て回り、子どもの意見も入れるようにしましょう。あるいは、スポーツの試合を見にいくのもよいでしょう。それも、子どもがいってみたいと言い出すものに決めることが必要です。


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