どもりがますますひどくなってきました。どうしたらなおるのでしょうか
| 「小学校1年生の男の子です。言葉をおぼえ始めたころから少しどもっていたのですが、一昨年ごろからとてもひどくなってきたのです。それで学校に入る前になおしたいと思い、心療内科、大学病院などに連れていったのですが、学校に入ればなおると言われ、そればかり楽しみにしていましたのに、反対にますますひどくなり、最近では単語もまともに言えないありさまです。どうしたらどもりがなおるものでしょうか。心配で仕事も手につかない毎日です。」 どもりには心理的な原因が・・・・・・ どもりの原因は、今日でもはっきりしない面がありますが、心理的なものがあることは、子どもに対する「遊戯療法」とともに、母親への「カウンセリング」をしてみるとわかります。 「遊戯療法」とは、子どもと遊びながら、子どもの心にしこっていたものを表現できるような温かい雰囲気を作り出すわけで、それには専門的な教育を受けた治療師があたります。もう1つの「カウンセリング」では、お母さんやお父さんと面接をしながら、子どもの育て方の軌道修正をしたり、お母さんの心にしこっているものを表現できるようにしてあげることによって、しこりが子育ての及んでいた悪い影響を取り除いてあげるように援助するわけです。 非常に面白いことに、遊戯室では全くどもらないという子どもがいます。それは、心がのびのびとしてきて、あせらずにしゃべることができるからです。それを逆に言えば、どもるときには、なんらかの緊張感があると考えられます。また、始めはどもっていても、治療が進んで行くうちにどもらなくなる例もあります。それとともに家庭でもどもる回数が減っていく子どももいますが、家庭では相変わらずどもっているという例もあるのです。家庭に何らかの緊張を起こさせる状況があることを考えてみなければなりません。 お母さんの中には、子どものどもりを早くなおしたい一心で、子どもがどもると、お母さん自身が緊張して対応してしまう人がいます。それを、子どもは素早く感じ取ってしまうわけで、「カウンセリング」を通じて、お母さんがおおらかな心の持ち主になるように援助します。お母さん自身、自分の緊張しやすい性格を変えておおらかになることはそう簡単にはできないのですが、自分が自分の親から厳しいしつけを受けてつらい思いをしたことなどを話しているうちに、子どもにはおおらかに接することができるようになっていることが少なくありません。親は、自分が受けたしつけをそのまま子どもに当てはめて実施してしまっていることが意外に多く、自分が受けたしつけよりさらに過酷なものになっていることさえあるのです。それをなおすには、自分が受けたしつけを見つめ直すことが必要になるわけで、当然、自分の親に対する批判になりますが、そうした批判が悪いと思っていた心が取り除かれますと、急に気持が軽くなるものです。 家族関係がぎくしゃくしていませんか また、夫との心の結びつきが十分でなく、夫に「気がね」をしている母親が少なくありません。そうした夫婦関係の中では、話し合いが十分に行なわれていないのが普通です。言いたくないと思っていた夫に対する非難をカウンセラーの前で言ってしまうと、自分の心のしこりが取れて、夫がどうであろうとも自分なりに母親としての対応の仕方を子どもとの間で円滑にできるようになる母親もいます。中には、夫に対して「気がね」をしないでどんどんと話すようになり、かえって夫との関係が円滑になったという母親の例もあります。 また、年寄りと同居している場合に、おじいさんがワンマンであったり、おばあさんとの折り合いが悪かったり、おばあさんが意地悪ばあさんだったりして、家庭内の雰囲気が暗い状況がありますと、お 母さんの心には絶えず重荷がのしかかっていて、子どもに対してもヒステリックな対応が多くなっている 例があります。当然、お母さんは楽しく笑うことができないでしょうし、追い詰められたような気持になっ ていることさえあります。そうした気持などをカウンセラーに聞いてもらうことによって、お母さん自身の力で自分の心の整理ができて、子どものといる限り明るく生活することができるようになった例もあります。 家庭内の不調和な人間関係は、子どもに何か問題が起きたときに、それにうまく対応することのできないお母さんを作り出してしまいます。とくに2歳前後はどもりが生じやすい年齢であり、そのときにどもりが表れても、生理的どもりと言って、放っておいてもなおるものが多いのですが、家族関係に失調がありますと、お母さんの子どもに対する態度には混乱が生じて、子どものどもりを固着させてしまうこと が少なくないのです。どうしても心理療法の専門家の援助が必要です。 |
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