最近、平気でうそをつくようになり心配です、叱るべきでしょうか
| 「あと2ヵ月で満5歳になる女の子ですが、近ごろあまりうそをつくことが多いので心配です。お友だちがお人形を抱いて遊びにきますと「アタシモ、モット大キナオ人形モッテイルノヨ。オチチヲノマセルト、オシッコスルノ。キセカエノ洋服モ沢山モッテルノヨ。デモネ、ウチガセマクテオケナイカラオバアチャマノオウチニシマッテアルノ。トキドキアイにイクノヨ。」こんなことを言っています。平気でこんなうそをついているのを叱るべきでしょうか。それとも無理をして人形を買ってやるべきでしょうか。」 幼児のうそは無邪気な願望の表現です この年齢の子どもは、自分が創造したことと、現実とをいっしょにしてお話をすることが少なくありません。ですから、「創造的なうそ」と呼んでいます。 ある男の子は、幼稚園で、日曜日に何して遊んだかという話し合いをしたところ、飛行機に乗ってお空を飛んだ話をしたそうです。先生も本気になって聞いてしまったほど、現実感があったそうです。お母さんがそのうそにびっくりして、私のところへ飛んできたほどです。また、ある女の子は、お母さんの実家へいったときにお弁当の話が出て、「アタシ、オベントウハ、イツモゴハンニウメボシヨ」とおばあさんに話したそうです。その話に驚いたおばあさんは、お母さんを非難する電話をかけてきたのです。びっくりしたのはお母さんで、お弁当はいつも栄養を十分に考えて作っていたので、どうしてそのようなうそをついたのだろうと言って相談にきたのです。 男の子の場合には、飛行機に乗ってみたかったのです。しかも、数日前に絵本で飛行機に乗ったお話をお母さんが読んであげたのが、子どもの心に残っていたのです。あるいは飛行機に乗った夢を見たのかもしれません。女の子の場合は、お友達がもってきた日の丸弁当がきれいに見え、自分もあのようなお弁当を食べてみたかったのです。女の子がすばらしい人形をもっていて、おばあちゃんの家に預けてあるとお友達にうそをつくのはよくあることです。 こうしたときに、お母さんとしてはどのような態度に出たらよいでしょうか。多くは聞き流していてよいのです。年齢とともに現実がだんだんとはっきりしてきて、空想と切り離して考えることができるようになるからです。 もしお母さんに対して似たようなうそをついたときには、例えば「飛行機に乗ってみたいのね」「日の丸弁当が食べたいのね」「お人形がほしいのね」とうその裏側にある子どもの気持を汲んであげればよいのです。子どもは、自分の気持をお母さんに受け入れられたことで満足するでしょう。 うそをとがめる前に、育て方に反省を なお、この際に、防衛的なうそについてお話しておきましょう。それは、だんだんにこの種のうそが多くなってくるからです。防衛的なうそは、ものをこわしたときに「ぼくじゃない」と言い張るようなうそです。そうした子どものうそに出会うと、お母さんは何とかして子どもに白状をさせたくなって、あれこれと追及するようになってしまいます。しかし、その前に反省しなければならないことは、子どもの失敗について叱ったり叩いてきたようなことはなかったか―という点です。失敗を叱られることの多かった子どもは、叱られるのはいやですから、どうしても防衛的になるものです。お母さんだって、お母さんを非難することの多いお年寄りの前では、ついうそをついてしまうでしょう。非難に対する防衛からうそをつくわけです。ですから、うそをつかない子どもにしようとするならば、子どもの失敗を避難しないようにすることです。そういうお母さんに対しては、子どものほうから「こわしてしまってごめんね」と言うようになるものです。ものをこわしたときなどには、子ども自身「しまった」と思っていますから、「この次には注意しようね」というか、それも言わなくてもよいくらいです。子どもといっしょに片づければよく、ガラスなどは片づける方法を教えておくと、だんだんに子ども自身が後始末をするようになります。 防衛的なうそのほかに、自分の立場をよくするためにうそをつくことがあります。幼稚園で先生に手伝ってもらって作った工作などを、「僕が1人で作った」などとうそをつくことです。このときにも、お母さんの反省から始める必要があります。それは、これまでの子育ての中で、子どもをほめることが少なかったのでないか、けなすことが多かったのではないか―ということです。子どもには(人間には)、他人に認めてもらいたいという気持があります。子どもの作った作品がお母さんの目にはへたに映っても、よく見ると、子どもなりに工夫したり努力したりして作っているもので、その点をきちっと認めてほめてあげるお母さんには、子どもはうそをつきません。 |
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