ちょっとしたことで、すぐ泣きます。泣き虫をなおすにはどうしたら
| 「小学校1年生の女の子ですが、とっても泣き虫で困っております。風で机の紙が飛んでいったと言っては泣き、学校でテスト用紙に名前を書いていると隣の男の子が手を出して邪魔をしたと言って泣き、他の子どもや大人たちが見れば、本当にたわいないことで大きな声で泣くのです。そして泣いたあとはケロッとしており、すなおに悪いことはあやまります。なお、からだはやせておりますが、大へん元気です。ただ泣き虫さえなおってくれればと願っていますが、どのように扱えばよろしいでしょうか。」 泣くと言いなりになっていたのではないでしょうか 子どもはなぜ泣くのでしょうか。赤ちゃんを思い出してみればわかるでしょう。赤ちゃんは、お腹がすいたときには必ず泣きます。これは生理的欲求を満たすためで、それをお母さんに知らせるわけですが、空腹は赤ちゃんにとって不快であるからです。初めは本能的に泣くわけですが、泣いたことによってお母さんが空腹を満たしてくれることを知りますと、空腹を満たしてくれる人を呼ぶために泣く―といった人間関係の中での意味をもってきます。そして、抱いてもらいたいとか、戸外へ連れ出してもらいたいとか、自分のさまざまな欲求を満たしてもらいたいために泣くようになります。お菓子やジュースをほしいときにも泣くようになりますし、玩具を買ってもらいたくて泣きわめいたりもするでしょう。 しかし、順調に発達している子どもであれば、言葉が発達するとともに言葉で自分の要求を伝えるようになりますし、がまんする力が発達してきている子どもであれば、お菓子が食べたいと言い出しても、「食後にしましょうね」と言いますと、その時間まで「待つ」ことができるようになりますし、玩具なども日時を決めて与えるようにしていれば、その日まで「待つ」ようになります。その力は、大体3歳ごろになると強くなり、泣くことはだんだんに少なくなってきます。 ところが、7歳になってもちょっとしたことで泣くのは、赤ちゃんの状態が残っていると言えましょう。それはなぜでしょうか。その理由は、泣くことによって自分の欲求が満たされてきたからであり、がまんする力が乏しいからです。 これまでの育て方を思い出してごらんなさい。お母さんや、他の家族のものが、子どもを泣かせてはかわいそうだというわけで、子どもが泣くと、何かを与えてしまったり、子どもの言いなりになって何かをしてあげていたと思われます。その点で大切な時期は3歳までですが、そのころにお年寄りと同居してたようなことはなかったでしょうか。お年よりは、子どもに泣かれるのがいやですし、血圧も上がることになって、つい子どもの要求したことや物を与えてしまいますし、それを嫁である母親に命ずるお年寄りもあります。お年寄りに気がねをしているお母さんは、どうしてもお年寄りの命令に従ってしまいます。そのようなことで、子どもは、泣いて訴えれば、周囲にいるもの、とくに大人が自分の欲求を満たしてくれると思っています。その場合には、大きな声で泣きわめきます。そのほうが効果があるからです。このままにしておきますと、赤ちゃんの心が残ってしまって自我が成熟しません。 泣いても要求が通らないことを教える では、どのようにしたらよいでしょうか。子どもが泣いて自分の欲求を表したときには、家族のものが協力し合って、子どもの欲求に応じないようにすることです。そうなりますと、子どもはいっそう声を張り上げて泣くでしょう。そして、自分の欲求が聞き届けられるまで泣き続けようとするかも知れません。そのときに、家族の誰かが耐え切れなくなって、子どもの欲求を聞き届けてしまいますと、子どもは泣いたことによって勝利を得たことになります。泣いて欲求を通すことに自信をもってしまいます。ですから、子どもがどんなに泣いても、子どもの欲求を聞き入れないようにがんばり通すことが絶対に必要です。 がんばり通すことに成功しますと、子どもは少しずつ泣かないで自分の欲求を示すようになります。そのときに、時間や日時が決めてありますと、子どもは少しずつそのときまでがまんする力が育ち、「待つ」ことができるようになります。それには、3ヵ月から6ヵ月かかります。家族の皆さんの協力が何よりも必要です。それによって、家庭外で「泣く」ということも減ってきます。 その他、生活習慣は身についているでしょうか。衣服の着脱や身の回りのことを自分でする気持が育っているでしょうか。もし、何かにつけて家族のものに頼る気持があれば、自発性を育てるために、「自分のことは自分で」と言って、泣いても手を貸さないようにしましょう。さらに、少しずつ家事のお手伝いをするように、指導しましょう。家族のために奉仕する心を育てることはいつも考えておきたいことなのです。 |
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