思うようにならないと、頭や顔をかきむしって泣きわめきます。カンの虫でしょうか
| 「4歳の女の子です。最近ちょっとしたことでも自分の思うようにならないとすぐ大声でわめき、自分の頭や顔をかきむしって泣き出します。近所の人は「カンの虫だからお灸をすえたらいい」とすすめて下さるのですが、私はなるべくお灸をすえたくはないのです。去年の10月に次女が生まれたので、かまってもらえないのが淋しくてカンの虫を起こすのでしょうか。もしカンの虫だとしたら、お灸のほかに何かよい方法はないものでしょうか。」 いくら泣いても取り合わない方針をつらぬく 昔からわが国では「カンの虫」という言葉が言い伝えられてきました。そして、子どものからだの中のどこかに、そうした虫が沸いたような印象を与えました。そして、「虫」を殺すために、お灸などをすえたものです。しかし、科学的に考えてみれば、そのような「虫」はいるはずがありません。 ではどうして、ちょっとしたことで泣き騒ぐのでしょうか。それは、泣き騒げば、必ず大人たちが反応してくれるからです。びっくりして反応するということもありましょう。うるさいので仕方なく反応してしまうこともあるでしょう。そのような反応が得られれば、子どもは自分の目的を達することができるわけですから、自分の目的を達したという経験が多ければ多いほど、泣き騒ぐ方法を用いる子どもになります。 どのようなときに子どもが泣き騒ぐかを、よく観察してごらんなさい。大きく分けて2つになると思います。1つは、ほしい物があるときです。すぐに手に入れることができれば泣き騒ぐ必要がないから、静かにしているでしょう。ところが、断られたり「待つ」ように言われたりすると、がまんできずに泣き騒ぎます。それが手に入るまで続けるでしょう。そして、手に入れることができると、泣き騒いだことは、子どもにとってよい方法となったわけです。しかし、子どもの人格には、「がまん」する力は育ちません。そのままにしておきますと、だんだんに「わがまま」の度が強くなってしまいます。ついには、物欲の強い暴君になってしまうことさえあります。からだが大きくなって暴れますので、家人の手には負えなくなってしまうという例さえあります。 もう1つは、自分が不利な立場になったときに、大人の援助を求める意味で泣き騒ぐことがあります。きょうだい3人の下の女の子でしたが、2人の兄にちょっとしたいたずらをされると泣いていましたが、そのたびにお母さんもおばあちゃんも、上の子を叱っていました。ですから、その女の子は、泣きさえすれば大人たちがかばってくれるものと思い込んでしまいました。ですから、幼稚園に入ってからも、お友だちにちょっとかまれたりしますと、大泣きをするのです。先生は、そのようなことでは援助したくないのでしたが、あまりひどく泣くので、つい声をかけるようになってしまいました。 園と家庭との連絡をよく取り合うために、園の先生とお母さんとが話し合いをしました。そして、どんなに泣いても、それには取り合わない―という方針を立てたのです。家庭でお兄ちゃんが何をしても、お兄ちゃんを叱らないようにしましたし、園でもそのままにしておきました。ただし、自分で泣きやんだときには、抱き上げて「がんばったね」と励ましの言葉をかけるようにしました。 その結果はどうでしょう。1〜2週間もすると、大泣きする回数が減ってきましたし、1ヵ月もするうちに、大泣きが全く消えてしまいました。それに伴って、その女の子は、お友だちといっしょに遊ぶ楽しさを味わうことができるようになったのです。この子の場合、お兄ちゃんがいたので、物欲をがまんする力はついていましたから、早く解決されたのです。 家族みんなの協力が鍵です 食べ物とか玩具などが、子ども思い通りに与えられていたという例、つまり、子どもが大泣きすれば手に入れることができたという体験をしてきた場合には、家族のみんなで協力し合えるかどうかが、この問題を解く鍵になります。お母さんが、時間を決めて菓子類を与えたり、日時を決めて玩具類を与えたい―と考えていても、お父さんが「そんな固いことを言っても始まらない」とか、お年寄りが身勝手に次々と玩具を買い与えたり、お金を与えたりしていますと、「おじいちゃん、おばあちゃん、ありがとう」と感謝の言葉を言うかも知れませんが、それは、物欲、金銭欲から言っているまでで、だんだんに欲望の強い子どもになっていき、思春期以後になると、「バイクを買え!」「自転車を買え!」と言う子どもになっています。どうか、子どもの物質的・金銭的欲望については、家族のみんなで力を合わせて、きちっと管理をしましょう。 |
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