神経質で戸が少しあいていても気にします。気を大きく育てたいのですが
| 「3歳と3ヵ月になる男の子でございます。男の子だというのにとても神経質で、例えば靴など、きちんと揃えておかないと気がすまないらしく、いつも私に揃えてくれと言うのです。またとが少しでもあいていると自分で閉めにいくという調子です。とにかく「何かしてほしい」と言ったときに「ちょっと待ってね」などと言おうものならたちまち怒り出して、少しの間も待つということができません。男の子ですし、気を大きくのびのびと育てたいと思うのですが、どのように指導したらよろしいでしょうか。私が少し神経質なところがあるのですが、それで子どもも似たのでしょうか。」 しつけを急ぎ過ぎると神経質な子に 子供というものは、もともと「こだわり」がなく、戸などはあけっ放しですし、靴なども脱ぎっぱなし、遊べば散らかしたまま―という状態で、お母さんとしてはつい叱りたくなるようなことを次々とする存在です。そうした子どもに、少しずつあけた戸は閉めるように教え、靴なども脱いだら揃えておき、遊んだあとの玩具は片づけるように教えていくのが「しつけ」です。 しかし、その「しつけ」は、ゆっくりゆっくりすることが必要で、目標は思春期です。思春期になりますと、自我に目ざめ、自分を美しくしようとしますし、自分の周囲や自分の部屋をきちっと飾ろうとします。そのときに役立つように、幼いころから少しずつ教えておくことは必要ですが、それを急ぎますと、「こだわり」の強い子どもにしてしまいます。これが、神経質という状態です。 神経質―と言うと、生まれつきのように思っている人がいますし、専門家でさえもそのように考えていた時代がありました。しかし、現在は、家族の中に「こだわり」の強い人がいて、「しつけ」を急ぎ、「こだわり」の強い子どもにしてしまうことがはっきりしています。 ですから、3歳前後で神経質な状態が現れたということは、それまでの子育ての中で、家族の中の誰かが、早く「しつけ」をしようと急ぎ、あれこれと細かい注意をしてきた結果であると考えなくてはなりません。家族の中で、最も強い影響を与えるのは、子どもと接触する時間の多いお母さんです。お母さんがおおらかで、「しつけ」に「こだわらない」人ですと、子どもはのびのびとしていますが、お母さんに形式上のことに「こだわり」が強く、子どもにあれこれと注意をすることが多いと、子どももまた「こだわり」の強い人格を形成していきます。 次に、お父さんがどういう人格の持ち主かが問われなければなりません。お母さんがのんきでおおらかな人格の持ち主であっても、お父さんが気の小さい人で、あれこれとお母さんに注意することが多かったり、子どもに対して「しつけ」のうるさい人であると、お母さんもその巻き添えをくって、子どもに当たることが多くなって、子どもを「神経質」にしてしまいます。 また、お年寄りが同居していて、あれこれと昔流の「しつけ」に「こだわり」、それをお母さんに強要したり、直接孫に対してそれらを求めますと、お母さんもお年寄りに「気がね」することが多くなり、子どもを神経質にしてしまいます。神経質な子どもは、いろいろな面で「こだわり」が強いので、お友だちといっしょにいきいきと遊ぶことができませんし、だんだんに家庭の中にばかりいるようになり、社会性の発達はとまってしまいます。そして、思春期以後になって、ノイローゼになって悩むような子どもになるでしょう。 むしろ「だらしない」お母さんになって下さい このような神経質から子どもを救うためには、どのようにしたらよいでしょうか。それには、まず、もともとも子どもの姿に返すことです。つまり、お母さんとしては「しつけ」を全廃することです。そして、お母さんがお手本を示すことです。つまり、戸をあけっ放しにしてみたり、散らかしたままにしておいたり、いわゆる「だらしない」と言われるような行動のお手本を示すことです。もちろん、それにはお父さんやお年寄りの協力を得なければなりません。子どもの将来のためということになれば、協力して下さるでしょう。 また、世間体についても、お母さん自身も腹を決めなければなりません。あの家のお母さんはだらしない―とか、あそこの家はいつも散らかっている―といった近隣の人々からの非難を受けることも覚悟しなければなりません。世間の人がどう言おうとも、子どもを神経質から救い、のびのびと泥んこ遊びなどを楽しむことのできる子どもに変えてあげることが必要です。 もし、お母さんにその決心がなかなかつかなかったり、お父さんやお年寄りの協力が得られなかったならば、子どもには「遊戯療法」が、お母さんには「カウンセリング」が役に立つでしょう。児童相談所で相談してみましょう。 |
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