つねったり、いやがらせをしたり、友だちにわざと意地悪をします
「満3歳の女の子です。いつもはとてもよく遊んでいるのですが、ときどきお友だちに「乱暴」をして困っております。その場で叱りますと「もうしません。ごめんなさい、ごめんなさい」とあやまるのですが、またすぐ、わざと友だちのいやがることをしてみたり、ちょっとつねってみたりするのです。どうしてこんな意地悪をするのでしょうか。じょうずに導けば、だんだんになおるものでしょうか。どうしたらよいかお教えくださいませ。」 お母さんは子どもに意地悪をしていませんか お母さんたちは、「よい子」であってほしいという願いから、子どもが発達する存在であることを忘れて、子どもに高望みをして、子どもに気になる行動が現れますと、叱ってしまっています。子どもが発達する存在であるという意味は、未熟な状態からだんだんに成熟するということで、3歳の子どもにはたくさんの未成熟な行動が現れますし、だからこそ、自己中心的と言われているのです。 意地悪をする―ということですが、こうした意地悪は、大人たちにも見られるのではないでしょうか。お母さん・お父さんも、ほかの人に意地悪をするようなことはないでしょうか。意地悪をしたくなるような気持になることはないでしょうか。意外にも、お母さんが自分の子どもに対して意地悪をしていることが少なくないのです。子どもが「お母さん」と言って寄ってきたときに、「うるさいなあ」などと自分本位の気持があると、「あっちへいっていてよ」などと意地悪をしてしまうことはないでしょうか。子どもは、せっかくお母さんに甘えたくて「お母さん!」と寄っていったのに、それを拒否されれば、お母さんに意地悪をされたように思うでしょう。そして、情緒が不安定になります。そのようなときにお友だちが遊びにきますと、その不安定な情緒をお友だちにぶつけることにもなります。ですから、お母さん自身、子どもに対して意地悪なことをしていないかについて、絶えず反省していることが大切です。 3歳児と言えば、まだ、お友だちといっしょに楽しく遊ぼうという気持が十分に発達していません。3歳から4歳にかけて、積極的にお友だちを求めて、いっしょに遊ぼうとしますが、どのようにつき合えば仲よく遊ぶことができるかについては、経験が不足しています。ですから、自分本位にお友だちを動かそうとして、乱暴な行動になってしまうことがあります。お友だちのほうは、それによってびっくりして泣き出してしまいます。しかし泣かせたほうの子どもには、意地悪をしようとしてお友だちを泣かせたのではないということがしばしばです。ところが、それをみたお母さんは、意地悪ととって叱るのですから、子どもは何で叱られているのかがよくわかりません。ですから、「もうしません」などとあやまったとしても、心の中では全くあやまる気持であやまってはいないのです。ですから、すぐに同じことを始めるでしょう。 また、自分の大切にしている玩具をお友だちに貸そうとはしないでしょう。もし、お友だちがその玩具を手にしようとすれば、突き飛ばしてしまうかも知れません。3歳前後の子どもは、1つの玩具でお友だちと仲よく遊ぶことはできません。自分の玩具を大切にする気持のほうが強いからです。しかし、4歳になるまでに、お友だちとのつき合いをくり返していきますと、だんだんに1つの玩具を順番に使ったり、いっしょに使って遊ぶ遊びを考え出したりして、意地悪に見える行動は減ってくるでしょう。意地悪に見える―という言葉を使ったのは、お母さんにとってはそう思えても、子どもの気持はそうでないからです。 お母さんには意地悪に見えても、子どもの気持はちがいます 子どもの気持がよくわかるお母さんになるためには、子どもの心の動きについて書いてある本を読むことをおすすめします。それには、子どもの心を「思いやる」力が必要で、お母さんの書いたものと、保母さんの書いたものをすいせんしておきます。 津守房江著:『育てるものの目』婦人之友社 900円 本吉まと子著:『愛ときびしさの幼児教育』あすなろ書房 950円 黒岩秩子著:『おお子育て』教育資料出版会 1,200円 こうした本を読みながら、お母さんがこれまで考えてきた「よい子」「悪い子」についても考え方を、変えてほしいのです。つまり、親たちは身勝手に「よい子」「悪い子」を分けて、「悪い子」と思うと、子どもを叱っているのです。子どもにしてみれば「悪いこと」をしている気持がないのに叱られるのですから、心に傷を受けてしまいます。その傷が多くなりますと、子どもの人格形成にはゆがみが生じ、本当に意地悪な子どもになってしまいます。子どもは未熟な状態からだんだんに成熟していく存在であること、そして「悪いこと」をしない存在であることを、子どもと生活しながら感じ取って下さい。 |
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