心配症で、つまらないことをいつまでもクヨクヨ気にするのです

「小学校1年の女の子ですが、極度の心配症で困っております。幼稚園のころからつまらないことをクヨクヨと心配しており、例えば道を歩いていてよその家を見たとたん、家の中のおじさんと目が合ったと言って心配し、のぞいたと言っておじさんが怒りにこないかと、何日もたってからでも思い出して気にしています。このごろでは病的にさえ感じられるほどです。昼間は明るく遊んだり話したり致しますが、さて夜の九時ごろになると、その日のこと、何日も前のことなど一度に胸にこみ上げるらしく、ときとしては涙をこぼして心配するのです。親類に神経衰弱で入院した人もいますので心配です。」

子どもは「心の基地」を求めているのです

心配症というのは、実際には起こりそうもないことをあれこれを心配して、お母さんにそのことでうるさく言い寄ったり、そのために眠れなかったりする状態を言います。

このような子どもの心配性は、必ず家族の誰かに心配症があって、その影響を受けているのです。心配症の家族は日常の生活の話の中でいろいろと心配なことを話しますので、その話を聞いたり、話をしている人の表情から、子どもも不安をもつことが多くなってきます。子ども自身といちばん接触の多いお母さんに心配症がありますと、子どもは最も強い影響を受けることになりますから、お母さん自身の心配症をなおす努力が必要になります。それには、専門家(カウンセラー)からカウンセリングを受けることがよいのですが少なくとも子どもの前で心配事を話さないようにしてほしいのです。 

では、子どもがあれこれと心配しているときに、お母さんとしてはどのような態度でのぞんだらよいでしょうか。「そんなに心配しなくても大丈夫よ」とか、「そんなことは起きないよ」などと言っても、子どもの心配が解消されないでしょう。心配症というのは、理屈ではなくて、心の奥に不安という感情がぐるぐると動いているからです。そうした不安を少しでもやわらげてあげるためには、お母さんのひざの上に乗せてあげ、じっと抱いていることが必要なのです。子どもは、お母さんのひざを心の基地にしているからです。お母さんのひざの上に乗っているだけで、心の不安が解消することが少なくありません。

もっと根本的に考えれば、これまでの子どもとの関係の中で、スキンシップが不足していたようなことがないか―ということです。子どもがお母さんのひざを最も必要とする年齢は、1歳から3歳です。この年齢の子どもは、なんらかの不安を感じますと、必ずお母さんのひざの上に乗ってきます。そして、不安を解消します。しかも、お母さんの姿が見えなくなると不安になって「後追い」をします。あるいは、夜中にこわい夢でも見るのでしょう、お母さんの布団の中にもぐり込んで、添い寝を求めるでしょう。このような子どもの状態が過去にあったかどうか。もし、お母さんに対してからだで甘えるようなことがなく、しっかりしていた―という印象をもっているのであれば、スキンシップが少なかったこと、そのために自分の不安を解消する力が乏しいことを意味しています。お母さんにからだで甘えようとしない子どもは、しばしば「しっかりしている」とか、「独立心がある」などと思われていますが、実はニセモノです。甘えたいけれども、「甘えてはいけない」と拒否されたり、「しっかり者」などとほめられているために甘えることができずに、本当は淋しい思いをしているのです。とくに、弟や妹が早くでき、「お姉さんになったんでしょ」などと言い含められ、がまんをしてしまった子どもには、潜在的に不安が残っているのです。

スキンシップを十分にすると心配症は消えます

その点に思い当たるならば、小学生であっても、十分にスキンシップを実現してあげて下さい。添い寝もしてあげて下さい。スキンシップになれていない子どもは、初めはいやがるかも知れませんが、チャンスをねらっていますと、じょうずにスキンシップが実現できるようになります。そうなると、一時的に、お母さんにベタベタとまといつき、お母さんから離れないようになる子どももいます。それだけ、子どもはお母さんにスキンシップを求めているし、それだけ過去におけるスキンシップが不足していたということになるわけです。お母さんとの間のスキンシップの楽しさを十分に味わい、お母さんとの間の情緒的な結びつきができますと、ベタベタと甘えることが少なくなっていきます。その間、2〜3ヵ月以上を必要とする子どももいます。

そして、いつの間にか、心配症が消えてしまっています。お友だちと元気に遊び、夜は安らかに眠りにつくでしょう。眠りにつくまで、お母さんは手を握っていてあげましょう。

このように考えていきますと、子どもの心配症は、お母さんとの間のスキンシップを通じて、お母さんを心の基地としたい―というシグナルであったことがわかります。

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