子育ての知恵

□「子育ての知恵」特集

昔から様々な国や地域で「子育ての知恵」が語り継がれてきました。「子育ての知恵」は単なる育児法ではなく、優れた人間性を育て上げる人類の知恵と言えるものです。語り継がれた知恵を良く理解することにより、家庭力、人間力、学習力を向上させることができます。
いくつかの書籍からその「子育ての知恵」をご紹介したいと思います。

「アメリカインディアンの教え」(ニッポン放送出版:加藤諦三氏)
子供たちはこうして生きかたを学びます。
批判ばかり受けて育った子は 批判ばかりします。
敵意にみちた中で育った子は だれとでも戦います。
ひやかしを受けて育った子は はにかみ屋になります。
ねたみを受けて育った子は いつも悪いことをしているような気持ちになります。
心が寛大な人の中で育った子は がまん強くなります。
はげましを受けて育った子は 自信を持ちます。
ほめられる中で育った子は いつも感謝することを知ります。
公明正大な中で育った子は 正義心を持ちます。
思いやりのある中で育った子は 信仰心を持ちます。
人に認めてもらえる中で育った子は 自分を大事にします。
仲間の愛の中で育った子は 世界に愛をみつけます。

加藤氏ははしがきの中で次のように語りました。
「私は、さまざまな人間関係のなかで、親子関係は特に大切なものと考えています。それは、親子関係が、すべての人間関係のスタートになるからです。親子の間で満たされるべき感情が満たされた人は、友だちともうまくいき、恋人ともうまくいきます。そうして他人と協力する喜びを知ります。そのように親密になる力をもった人は、会社などでもうまくいくのです。」これは事実です。人を愛するためには、人から愛された経験が必要なのです。

「子どもが育つ魔法の言葉」(PHP研究所:ドロシー・ロー・ノルト著)
子は親の鏡
けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる
とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる
不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる
「かわいそうな子だ」と言って育てると、子どもは、みじめな気持ちになる
子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる
親が他人をうらやんでばかりいると、子どもも人をうらやむようになる
叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう
励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる
広い心で接すれば、キレる子にはならない
誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ
認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる
見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる
分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ
親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る
子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ
やさしく、思いやりをもって育てれば、子どもは、やさしい子に育つ
守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ
和気あいあいとした家庭で育てば、子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる

はじめにの中で著者は次のように語っています。
「わたしは、詩『子は親の鏡』で、当時(1954年)の親御さんたちの悩みに答えたいと思っていました。どんな親になったらいいのか、その答えをこの詩に託したのです。50年代のアメリカでは、子どもをきびしく叱ることが親の役目だと思われていました。子育てで大切なのは、子どもを導くことなのだと考える人はあまりいなかったのです。
子どもは親を手本として育ちます。毎日の生活での親の姿こそが、子どもに最も影響力を持つのです。わたしは、詩『子は親の鏡』で、それを表現したかったのです。」本当に子は親の鏡ですね。

最後に「楽しい心の育て方」(お母さんがんばれ運動推進会/発行)
から子育ての原因と結果を記載したものを紹介します。
楽しい子育て
人に助けられて生きていることを教えると、やさしい心の子ができる
困難を乗り切りさせると、意志の強い子ができる
不便を味あわせると、考え深い子ができる
弱い動物などにやさしくさせると、思いやりのある子ができる
生きるきまりを守る楽しさを知らせると、独立心の強い子になる
リズムのある生活をさせると、明るい健康な子になる
親が心を磨いているのを知ると、知恵のある子になる
親が楽しく読み書きをしているのを見ると、勉強好きな子になる
物を作る喜びを知らせると、物を大切にする子になる

恐ろしい間違い育児
命令しすぎると、ウソつきの子になる
物を与えすぎると、欲張りの子になる
手伝いがすぎると、怠け者の子になる
口小言をいいすぎると、怒りん坊になる
甘やかすと、わがままな子になる
何でもすることを止めすぎると、臆病な子になる
親の生活態度がだらしないと、おそび好きの子になる
親が他人の悪口をいいすぎると、いじわる心を持つ子になる
親が動物いじめをしていると、ざんこくな心を持つ子になる

これらもたま納得いく原因と結果論だと言えます。私達の生活の中で様々な原因・結果論を見ますが、子育てほどそのまま現れてくるものはありません。なぜなら子どもはそのままを受け入れる存在だからです。子が悪いのではなく、鏡である親の気持ちや態度が子に現れているのです。
「子育ての知恵」はいつの時代でも、どこの国でも、いつも新鮮に親の心に響くはずです。なぜなら真理だからです。
親として謙遜に反省する心と、素直に修正する勇気と、頑張る気持ちを持ちたいですね!100%完全な親はいないのですから。

□「子育て」特集  「思いやり」を受けて「思いやり」が育つ

先日NHKの「子育て特集」をテレビで見ていました。世界の育児の専門家が長年研究してきた子育てに関する所見を述べていました。注目に値したのは、「子育てで最も大切な事は?」という問いに、すべての専門家が優先順位の高いところに挙げた回答でした。それは「親が子供の心を感じる感受性を持つこと」でした。現実は、子供につい求めることが多くて、子供が心で何を感じ、何を求めているかを見つめるゆとりがなくなっているのではないでしょうか。

平井信義先生は、親子の結びつきは親が子供をどう思いどう接するかによって大きく違ってくることを次のように述べました。これは親が子供の心を感じる感受性を育てる基本となることです。少し長文になりますが引用します。

『子どもの「思いやり」の心は、親たちや保育者・教師から「思いやり」を受けることによって発達するものであることが、だんだんに明らかにされてきています。それは、子どもの人生のスタートから始まると言ってもよいでしょうし、それ以前にさかのぼることさえもあります。
それは、子どもを待ち望んで産んだか、その期待がうすかったか、によって大きく分かれることがあります。子ども好きのお母さんがいるのに対して、子どもがあまり好きでないというお母さんもいます。子ども好きのお母さんは結婚すると早く子どもを欲しいと待ち望みますが、子ども好きでないお母さんは待ち望む気持が少なく、妊娠してもおろそうかどうしようかと迷うことさえも生じます。ですから、妊娠は喜びにつながっていませんし、子どもが生れても大きな喜びとはなっていないのです。子どもにしてみれば、不幸な星のもとに生れたと言うべきでしょう。それは、親子間の情緒的な結びつきがつきにくいからです。

子どもを待ち望んでいたお母さんは、子育てに積極的です。子どものためならば自分のことは犠牲にしてもよいという気持をもっています。ですから献身的です。とくに赤ちゃんの気持をよく汲んで、それに対応します。赤ちゃんの気持(情緒)は、初めの段階では、泣くということと笑うということに表現されます。泣くということは、不快な気持の表現です。お腹が空いたとき、眠くなったとき、からだのどこかに痛みがあるときなどに、泣きます。そうした不快感を汲んであげて、それを取り除き、快い気持にすることが、子育ての際のお母さんの大切な役割となります。ですから、泣くことは、生れて間もない頃には単に不快の表現に過ぎなかったものが、だんだんに泣くという表現に対して相手のあること、その相手が自分の不快感を取り除いてくれる存在であることを認識するようになるものです。そして、お母さんという存在がいることを知り、その人との関係を積極的に求めようとする気持が強くなります。

一方、赤ちゃんの微笑みは、快い気持の表現です。この微笑みは、生後間もなく現れますが、多くは眠っているときです。微笑が多くなるのは、生後二ヶ月前後で、あやすと笑うようになります。この微笑みは、赤ちゃんに生まれつき備わっている情緒的な表現であると考えられています。ですから、眠っていても現れるのです。この微笑みはすばらしく可愛いので、子どもの出産を待ち望んでいたお母さんは、あやさずにはいられません。このことから、お母さんを招く微笑――とも言われているのです。微笑を見たくてお母さんがさかんにあやしますと、機嫌さえよければ、あやすたびに微笑むようになります。しかも、自分と密接な関係にあるお母さんの声を聞き分けて、お母さんがあやせばよく笑うようになりますし、月齢が進みますと、声を立てて笑ったり、手足をばたばたさせて喜ぶようになります。このようにして、人間関係の基礎が作られていくわけです。

また、抱かれることも好きです。空腹で泣いていても、抱かれるとしばらくは泣きやみます。うっかりしていると、抱きぐせがつくほど、赤ちゃんはお母さんやお父さんに抱いてもらうことが好きで、抱かれ心地によって相手を区別することができるようになります。

このように、生後六ヶ月間は、親子関係、とくに母子間の情緒的な関係の基盤を作っている時期と言えましょう。もし、泣いても相手にさせず、微笑んでもあやしてもらえず、抱いてもらえないという状況におかれますと、赤ちゃんの情緒の発達はとまってしまいます。泣くことの少ない赤ちゃんになります。おとなしい赤ちゃんのように見えますが、泣いて不快感を訴えることをあきらめてしまった姿なのです。微笑も減ってきますから、無表情になってきます。さらに、赤ちゃん言葉も減ってきて、その後の言葉の発達もおくれてしまいます。昔の乳児院にはこのような子どもが多くいました。それは、からだの発育ばかりを気にして、あやしたり抱いたりすることが少なかったからです。その点を心配して、乳児院では保母を採用するようになりました。そして、十分に赤ちゃんと遊んであげるようになりますと、赤ちゃんの情緒の発達のおくれを防止することができるようになりました。』
(「心の基地」はおかあさん 平井信義著 企画室刊から引用)

親子間の心の絆がどのように形成されるかがよく理解できる内容です。子供の心を感じる親になれたら素敵ですね!



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