●足の第2指、第3指、第4指をいっしょにそらせばひざの痛みはその場で消える

★足の筋肉にたまった疲れを取り去る

 年をとると、体のあちらこちらに故障が起こってくることがめずらしくありません。そうした故障は、上半身より下半身のほうに早く現れてきます。とくに女性は50歳をすぎると、ひざの痛みを訴える人が非常に多くなります。

 人は、生まれてからずっと、ひざを酷使しています。ひざは、体の関節の中でも、とりわけ負担がかかりやすいところなのです。したがって、体の衰えとともにもろくなったひざが、痛みを訴えるようになったとしても、不思議はありません。

 その意味では、ひざが痛いからといって、悲観する必要はないでしょう。それよりこれを機会に、ひざの大切さをよく知って、ひざをいたわる方法を身につけてください。

 たとえば、これからご紹介する足の指そらしを行なうと、その場でひざの痛みが取れます。そして、ひざの痛みが消えたら、適度に足を使ってふくらはぎや太ももの筋肉を強化してください。そうすると、ひざの痛みがぶり返すこともなくなります。

 さっそく、やり方をご紹介しましょう。

@ 床に腰をおろし、痛くないほうの足を伸ばして、ひざの裏にバスタオルを巻いたもの、あるいは小さめの枕を置く。

A 痛いほうの足を@の太ももの上に乗せて、その足の第2指(手の人さし指に当たる)、第3指(手の中指に当たる)、第4指(手の薬指に当たる)の腹の部分に両手の親指を当てる。

B 当てた両手の親指で、足の第2指、第3指、第4指をそらせる。ゆっくりと、気持ちよく感じられる範囲内で行なう。痛みが感じられるほど、強くそらしてはいけない。

C Bの動作を1回10秒間ぐらいでゆっくりと行い、それを3回くり返す。

ひざの痛みがある人は、足のふくらはぎの筋肉や太ももの筋肉に疲労がたまって、硬くなっています。そのため、ひざの痛みが増すわけですが、同時に太ももの筋肉の柔軟性が失われると、ひざの関節の安定性が悪くなり、負担がよりいっそうかかって、ひざをさらに悪くしてしまいます。足の指そらしは、疲れて硬くなった筋肉に柔軟性を取り戻して、ひざの負担を軽くします。その結果、その場でひざが軽くなり、痛みもなくなるのです。

★10年来のひざ痛がたった一度で解消

 また、指そらしの効果をさらに高めたいなら、次の足の指曲げも行なってください。

@ 床に腰をおろして、両足のかかとをくっつける。

A @の状態で、両足のかかとを手前に引いて、ひざを曲げていく。曲げられるところまで曲げていく。無理に曲げる必要はない。

B かかとをつけて両ひざを曲げた姿勢で、痛いほうの足の第2指、第3指、第4指の爪の部分に両手の親指を当てて、足の裏側に曲げる。ちょうど、指そらしと反対の動作をすることになる。人によっては、腰がうまく曲がらないために、両手では足の指曲げができない人もいる。そういう人は片手で足の指曲げを行なう。

C Bの動作を1回10秒間ぐらいゆっくりと行い、3回くり返す。

足の指そらし・足の指曲げは、だれにでも簡単にできますが、重症の患者さんではひざがうまく曲がらず1人でできないことがあります。そういう場合は、家族の人に手伝ってもらってください。できたら、毎日朝・昼・晩の、3度行ないましょう。夜は、湯ぶねにつかりながら行なうと、非常に効果的です。

 なお、両ひざがいたい人は、両足の指そらし・指曲げを行ってください。

 57歳の男性Kさんは、長歩きをするとひざが痛くなります。しかも、がんこな腰痛と10年以上もつき合ってきました。この人に足の指そらし・指曲げを行なったところ、その場でひざの痛みも腰痛も軽くなったのです。

 あまりにもあっけなく、ひざの痛みや腰痛が取れたので、Kさんはいままでの痛みはいったいなんだったのかと、不思議そうな顔をしていました。

 このように、足の指そらし・指曲げで両足のバランスがとれてくると、骨盤が安定して腰痛もらくになることもよくあります。ぜひ、お試しください。