『聴くことは理解することの始まりです』(その5)

幼児期に親にかまってもらえなかったり、虐待を受けた子どもの場合、心が満たされないまま成長しますので、大人になっても日常生活の中で精神的に不安定な状態が起こることがあります。先日テレビでそのような学生にカウンセリングを行っているある大学の先生のドキュメントドラマが放映されていました。学生を含めた数人の成人に幼児期に満たされなかったことを、その時期に戻して体験させることをしてしていました。例えば、ミルクを与えたり、おしめをつけて上げたり、おぶったり、抱っこしたり、抱いてあげたり、肩車をしたり、一緒に楽しく食事をしたりという具合です。ある人はミルクビンからミルクを飲ませてもらい、赤ちゃんの時に満たされなかったことを、赤ちゃん返りによって満たしてもらって「とても気分が良い」、「安心した」と言っていました。
今日本でも虐待が増え、離婚も増え、育児放棄も増えています。幼児期に親の愛情に満たされずに成長する子どもが増えているのです。この状況に対して対処することはとても大切ですが、まず親子で生活している家族が正しい実践をしていき、これ以上子どもにとっての不幸が起こらないようにすることがとても大切だと思います。赤ちゃんも幼児も子どもも一人の人格ある人間です。生れてきた新しい生命を愛情もって育てていくこと、次の世代を立派に育成することが私たち大人や社会の責任ではないのでしょうか?愛情が満たされなかった人が親になると愛情の掛け方がわからなくなることがあります。社会全体として上記のような取り組みを考え、心のケアーをすることと、今の親が心の育て方、愛情の掛け方を実践していくことによって現状を良くしていこうではありませんか。子どもの心が何を叫んでいるのかを良く聴くことが子どもを良く理解することの始まりです。