『いつも出発点に戻る』

多くの若い男女が結婚式を夢見ます。タキシードとウエディングドレスを着た二人が、家族と大勢の親戚や友人に祝福されて、最高の喜びを感じる素晴らしい瞬間です。この式を境に二人は他人という関係から最も身近な夫婦としてスタートするのです。人生の中でバラ色に輝くとき、最も満ち足りた気持ちを感じるとき、とにかくしあわせなひとときです。結婚式はそういう意味で人生最高のときのひとつと言えるでしょう。結婚式の感動はいつまでも心に残っています。夢と希望を胸の中にいっぱい満たして迎えた感動のときだからです。
でも結婚式が終わり、二人の実生活が始まります。恋人として過ごし、お互いの欠点も見ないでまたは見せないで過ごした特別の時期が過ぎて、自分自身をある意味でさらけ出さなければならない時がきます。現実の世界の前で、出発時点の感動と熱意を少し失ってしまう事実に直面することもあるでしょう。こうではなかった、こうではないはずだったと思うこともあるでしょう。でもそれが現実なのです。結婚した時に夫や妻の長所だけでなく短所や欠点も一緒に受け入れたのです。機嫌の良い状態だけでなく、機嫌の悪い状態もある夫や妻として受け入れたのです。
離婚の原因で「性格の不一致」というのがあります。それは最初から現実に起こりえる、実際には確実に起こる現象です。それらの違いを逆に楽しむことが大切です。違いがあるからお互いに協力して新しい世界を築けるのです。何か夫や妻との間でしっくりいかないことが起こったら、どうぞ先人が残してくれた素晴らしい諺を思い出して下さい。それは”初心忘る
べからず”です。つまり、”いつも出発点に戻る”のです。この人と結婚することができた感動の結婚式の気持ちにです。最初からこのことを心得て結婚生活を送るならば、些細なことで夫や妻に抱いていた感極まった愛情を失うことはないでしょう。